ホントのホントに史実な世界線の話。
生まれた時から誰も彼もが俺を馬鹿にした。
俺は何も悪いことはしちゃいない。
ただ、体が小さいだけだ。
ただ、『サラ系』ってやつに生まれただけだ。
…なぜそれだけで馬鹿にされねばならない?
わけが分からない。
周りにそのことを話しても「仕方がない」と言われるだけ。
母であるホワイトリリィだけが俺の賛同者だった、…今までは。
『ッ誰だ!……"俺"?』
誰も彼もからの見下す目に慣れ親しんだ俺は、その時忽然と目の前に姿を現した自分と
その存在の視線には俺に対しての負の感情は全く見えず。
逆に、期待の眼差しだけが爛々と俺を射抜いた。
*
人間が嫌いだ。
その中で、まぁ多少は優しくしてやってもいいかと思うのは俺と母を助け出し、愛してくれた人間たちと俺の上に乗っている人間くらいだった。
助け出した方の人間は助けてもらった恩とあまり対面することがないという現状により特段嫌う要素もなく。
逆に好感度が高いのは上に乗ってくる人間だ。
アイツ以外の上に乗ってくる人間は俺を馬鹿にしてきたからムカついて振り落としたり言うことを無視したりしたが、アイツだけは俺を対等に見てくれたから。
「キミは凄い!」
そう、心底からそう思っているという目をしていたから。
…いや、絆されたとかそういうんじゃねぇし。
それでも、諦めてしまいそうになる時がある。
そのたびに"ソイツ"は現れる。
『…』
『なんか言えよ』
ムカつくくらい俺とそっくりな"ソイツ"は初めて会った時から何も話さなかった。
それに俺以外にはコイツが見えていないらしい。
その日も、何も話さない"ソイツ'はフイ、とそっぽを向き、走り出した。
『ッ待て!』
"ソイツ"が現れるたび、俺は追いかけるしかなかった。
指導してくれているのか、何なのかは分からないが"ソイツ"から見て覚えた走り方は確かに俺の糧になっていった。
決して俺は"ソイツ"に勝つことはないのだろう。
全力を出す俺と一定の距離を保って遠ざかる背に、ずっとそう思っていた。
だがあの日、…あのジャパンカップの前、
『…は?』
いつも通りの追いかけっこの途中、不意に脚を止める"ソイツ"。
「どうした」と振り向けば、満足気に微笑む"ソイツ"の体が透けていた。
『お、おい、お前…!』
『これなら、大丈夫だね』
初めて聞いた"ソイツ"の声は、話し方は丁寧だがひどく聞き慣れた声で。
狼狽える俺とただ一頭、納得して消えていこうとする"ソイツ"。
『待て、待ってくれ。俺はお前に勝ったことがねぇ。
なに勝ち逃げで満足気に消えようとしてんだ!』
『勝てることなんて一生無いさ』
『ンだと!?』
『だって僕とキミは…、もう分かってるだろ?』
鏡写しのような"ソイツ"が笑う。
…俺が、
『い、言うな、言うな言うな言うな…!』
『同一の存在なんだから。
───ねぇ、
してやったりという顔で"ソイツ"は、
…
遺された側のことを考えず、勝手に、消えて、
『「もうひとりで大丈夫だろ?」って、…バカ言うなよ』
そう言って孤独に泣く
またの名を「運命」を持っていく話。
銀弾(真):
本来の"シルバーバレット"。一人称は俺。
生産牧場からの扱いで多少やさぐれつつも、自分に期待する周りと亡くした仲間たちのために駆ける馬。騎手くんとの仲はもちろん据え置き。
幼いころから視える、ある『存在』に鍛えられて育った。
そしてその『存在』に"本来の運命"を持っていかれた。
なおこの世界でもSSとマブダチになるし、周りから激重感情を抱かれている。
────こどくに、しないで。そばにいて。
……もしかすると双子だった、かも?
『存在』:
"シルバーバレット"によく似た『存在』。一人称は僕。
だが目はどこか理知的で、"シルバーバレット"に走り方を仕込んだ。
話し方は非常に落ち着いているらしい。
最後に"シルバーバレット"の運命を持っていった。
──キミならできるさ。だってキミは…【本物】、なんだから。
────【