さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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少しづつ、少しづつ。



知らぬ間の依存

肌触りがとても良い高価な衣服に身を通す。

僕としてはファストファッションでいいのだけど、僕の世話をするあの子にとっては違うらしい。

見ようによっては愛玩に見えなくもないくらい大切に大切にされているけど。

 

「おはよう、スー」

「…うん、おはよう」

 

あの子-グローリーゴアが僕のことを恭しく抱き上げる。

僕よりもずっと大きい手に、抱き上げられたそこから見る景色も僕より大きい。

僕は、このグローリーゴアのペットみたいなものだ。

僕のことが大好きな彼は僕のために色々と準備してくれる。

血を繋ぐための相手も、何もかも。

 

「僕のこと、好きだね」

「もちろん」

 

働かなくても生きていけるだろう生活。

本当は故郷に帰って働こうと思っていたが捕まえられてしまっては。

まぁ故郷には自分以外にも父親の血を継いだ子どもたちがいた(今となってはたくさんいる)から別に帰らなくてもいいかと。

彼は僕が心配なのだ、と言ってここに閉じ込めて過ごしているけど……いや僕もこの子をひとりにするのはなぁと思っていたので渡りに船だが。

 

「仕事、ちゃんとしてる?」

「してるしてる」

 

これは本当…みたい。

僕のためにこの子も色々頑張って仕事をしてお金を稼いでいるし、僕も彼のために料理やらなんやらと頑張っている。

そういうこともあって僕たちはかなり順調に蜜月を過ごしていると言える。

彼は事あるごとに僕にかわいいねとか、かっこいいねとか言ってくるし僕の方もそれに対して悪い気はしないのでまぁいいかと思っている。

身体の大きさが違いすぎるためしょっちゅうギックリ腰とかしてしまわないか心配だけど今のところは平気だし。

いやいかんせん大きいから抱き着かれるのはきつい時があるけど……だって40cmくらい差があるし……。

そんな調子で過ぎていく日々だが……問題はあった。

 

「どうしたの?」

「いや…」

 

ちょっと孤独が辛くなってきた…気がする?

ひとりぼっちでも大丈夫だったはずなんだけどな。

あの子も忙しいし無理は言ってられない。

耐えなくちゃ…と思うけどさ。

 

「ねぇ、スー……大丈夫?」

「……ん」

 

頭を撫でてもらっていると彼の首筋や胸元から外の匂いがする。

ああ、彼が外にいたんだと思うと寂しい……寂しい?

なんでだろう。

いやでもこの生活は僕も望んだことなんだし、ちょっとくらい寂しくても我慢しなきゃ。

あの子も頑張ってるんだし僕だって頑張らなきゃ! よしっ!

 

「大丈夫だよ。大丈夫だから、仕事行っておいで」

「でも…」

「ほら、もう時間だよ?」

「……うん」





侵食。
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