さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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もしくはあなたしか…。



あなたしか見えないの

はじめましての時から初めの方はあまりグローリーのことを信じられなかった。

だってグローリーは素晴らしい人だし、彼が求めればどんな人だって頷くだろうし。

だから僕はグローリーが本当に求める人が現れるまでのつなぎで、多少気に入ってもらえただけでそれがなくなればすぐに忘れられてしまうのだろうと覚悟していた。

だけどそれを否定したのは他でもないグローリーだ。

 

「なに言ってるの?」

 

ふとその思考を口に出してしまったが最後信じるまでされたアレは…うん。

とりあえずはまぁ、グローリーの愛を信じることになって幾星霜。

 

「…飽きないね」

「好きだよ、スー」

「はいはい」

 

もう何度目か分からない再会で。

今日も今日とて僕を愛するグローリーに。

飽きることのない愛に、少しだけ救われたような気がした。

 

 

あの子はいつまでも僕の愛を疑っている。

初めの時よりは信じてくれるようにはなったけれど、それでも僕が向ける熱量を軽んじている節がある。

 

「愛してるよ、スー」

「ありがとう、グローリー」

 

他から見れば重いと呼ばれる愛情表現もあの子にとってはまだ軽いみたいで。

聞くに実母と育ての父の愛情表現を見て育ったせいか、ごく一般の愛情表現というものがピンときていないようだった。

まぁ、その話を聞くだけでも胸焼けがするのでできる限り聞きたくはなかったが。

そんな環境で育ってきたあの子が、人一倍愛を欲しがるのは当然だろう?

だから僕がその全てをかけてスーを愛していることを伝えているというのに……まだ足りないらしいね。

でも、そんな所も可愛いと思ってしまう僕はもう末期だよね。

だって仕方ないじゃないか。

自分の全てを疑わず信じてくれる存在を可愛いと思わないわけないだろう?

誰かを愛したことがなかった僕が、初めて心の底から愛していると想った人なのだから。

いつか……キミを世界一愛しているのは僕だって気づいてくれたら嬉しいな。

 

「今日もお疲れみたいだね、グローリー」

「うん…」

「グローリーはいい子いい子」

「うん……」

 

とろとろと優しい声が鼓膜を打つ。

あの子は僕の汚いところを知らない。

手に入れるためならどんな手を使うことも、汚いことだってやってのける僕を。

可愛いあの子はそれを知らずに僕の腕の中にいる。

僕が愛を注ぐと、嬉しそうに笑うから余計に止まれなくなるんだけれどね?

それをいつか気づかれてしまうんだろうか……。

それでもちょっとばかし気づいてほしいのかもしれないななんて思ってしまう僕はいつから狂ってしまったんだろうね?

 

 

(不安がりで心配性な所)

(それを隠すための言葉を纏う癖がある事)

(それを見抜いていてなお離れられないなんて)

 

「これが惚れた欲目ってやつかなぁ」





あなたしか見てないの。
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