さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

1346 / 1416

一緒に。



共に、

先輩が引退したのを境に、俺と先輩は気の向くままに旅をすることとなった。

最初は先輩の帰る場所になろうとしたのだけど、『お前ほっとくと団地妻みたいになりそうだから』と何とも失礼な理由で連れ出された。

 

「先輩」

「ほら乗れ」

「はい」

 

レンタカーの助手席に乗る。

いつの間に免許なんか取ってたんだろうと旅の初めに聞いたことには長い現役期間の途中に取ったのだという。

元から引退後は旅をするつもりだったからと。

 

「…」

 

意外に思うだろうが先輩の運転は驚くぐらい安全運転だ。

ちゃんと法定速度を守った速さというか、穏やかというか。

俺はハンドルを握る先輩の手をどこか特別な思いで眺める。

運転に集中している先輩は整った横顔もあいまっていつも以上に美人に見えるのだ。

綺麗な瞳を見ることができてちょっと得した気分だ。

……二人旅、これがまたすごく楽しかったりするんだ。

先輩も俺も口数が多い方ではないし旅行先では何かと静かに過ごすことが多いのだけれどそれが逆に心地よかったり。

全国津々浦々、果てには海外まで脚を伸ばして。

 

「帰るか」

「はぁ、」

「…お前が注目してたヤツらそろそろデビューだろ」

「あ、そうでしたっけ?」

 

 

アイツを旅の道連れにしたのは、あのままひとりにしておくと掻っ攫われそうだと思ったからで。

なにせアイツはとても人気なヤツだから俺がいないと引く手数多になる。

しかもアイツ自身がその人気に自覚がないときた。

あれを放っておけば何でも受け入れて入れ食い状態になる、マジで。

母親譲りの美貌もあるもんだからURAもコイツが断らないのをいいことにそういった方面に売り出そうとしていたし…。

まぁそんなことになる前に俺が連れ出したんだがな。

 

「先輩」

「おう」

 

ぎゅうと抱きしめ合い、スキンシップをする。

背後から抱えられるようにして座ったままコイツはされるがままだ。

気にせず目の前の肌に執念深く触れる。

そのたびに腕の中の体はピクリと反応するもそれ以外は静かでいつもと違い奔放に動かないようにしているようだった。

 

(珍しい……)

 

体を離すといつもは見せない瞳で見られ、すぐに逸らされたそれを惜しみながら俺は後輩の耳に手を伸ばす。

そのまま耳朶に触れると小さく吐息を漏らす後輩がいるから俺は気をよくしてさらにいじる。

耳の皮膚が薄いところを重点的に攻めると可愛い反応を見せてきた。

だがそれは失敗だったようで後輩は体を捻って逃げようとするものだから回していた腕に力を入れて阻止する。

そんな攻防を繰り返しながら行為を続けていくうちにとうとう耐え切れなくなったのか振り払う力が弱くなりだしたのを感じて俺の気分は上昇した。

 

「可愛い」





これが一番安牌かも?
もしくはステゴのそばにいるのがいいだけかも。
……まぁ、大丈夫かなぁ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。