気づかないんだ。
我ながらすごいなぁ、と考える。
「ごめん、大丈夫?…あ、うん。ありがと」
こころよく荷物を受け取ってくれた相手は往年の名バである。
それを荷物持ちにしているというのだから、見る人が見れば嫉妬とかあれやこれやが目白押しだろうに、不思議と誰も何も言わない。
「あのー……本当にごめんネ?」
──別に、気にしてない。それに今はオフだから。
「いやでも……」
──……じゃあ、1つお願いがあるのだけど。
そう言って、相手は少し考えるような仕草を見せた後、こう言った。
──明日一日も、自分にくれる?
「え?…あぁ、まぁ明日も休みだし」
──なら、お願い。……それでチャラってことでいいから。
「それでいいなら、いいけど……」
ポソポソと答えると、相手は少し微笑んでからこう言った。
──ありがとう。じゃあ、明日もよろしくね?
……そんなわけで、自分はいま相手と一緒に二日目の休日を満喫しているわけである。
とはいえ別に何か特別なことをするわけではなくて、ただ街をぶらぶらしてみたりだとかそんな程度のことなのだが……それでも相手は楽しそうだった。
(なんか新鮮だなぁ……)
そんな様子を見ているとこちらも楽しくなってくる。
……まぁ、それはそれとして。
(──あれ?)
ふと、相手の歩き方がおかしいことに気が付く。
なんというか、迷っているような……そんな動きだった。
「ねぇ、ちょっといい?」
──なに?
「どこか行きたいところあるの?」
──……。
相手は少し驚いたような顔をしてから、観念したようにこう言った。
──実はね……。
いわく、甘いもののお店らしい。
でも一人では行きにくい感じの場所だとかで、一緒に行って欲しいとのことだった。
「あー……なるほど」
──だから、お願いできる?
「全然いいけど」
──じゃあ、案内するから。
「了解」
立ち止まってのやりとりの後、二人で歩き始める。
「……そういえばさ」ふと気になったことがあったので聞いてみることにした。
「どうして自分を誘ったの?」と。
そうすると相手は少し考えた後、こう答えた。
──なんとなく、キミと一緒に行きたかったから……じゃダメかな?
(それは嬉しいけど…さ)
僕じゃなくても良かったんじゃないか?と。
だってキミには僕よりも仲のいい人間のひとりやふたりで両手いっぱい。
誘えば、誰だって二つ返事で了承してくれるだろうに。
──……。
(あ、黙っちゃった)
しまったな、と心の中で反省する。
今のはさすがに無神経すぎたかもしれない。
「ごめん、変に黙って……」
──ううん、大丈夫。気にしないでいいよ。
「そ、う…」
僕:
シルバーバレット。
知り合いと遊びに行ったら知り合いがいつもいつの間にやら荷物持ちになっている系ウマ。
相手からの好意に今日もニブチン。