でしょうけども!
どうやら僕は悪役らしい。
悪行の限りを尽くして最後には追放される的な。
そんな記憶を思い出してしまったものだから…。
「よし!頑張って追放されるぞ〜!」
なんか地位得るのとかごめんだし!
頑張った暁には自由に生きたい!
さて、じゃあ早速自由を獲得すべく行動しますか!
「まず第一に気になるのは今の時間軸だよな……。いつなのか分かれば対策もしやすいんだけど」
第一の目標としてまずは今の時間軸を知ろう。
もし僕が想像してる通りのルートを経験していたら目も当てられないし……。
ってあれ?
そういえば僕って自分の年齢を知らないじゃん……。
それはまずいなぁ……まぁそんなのは些事か些事!
とりあえずいっぱい悪いことすれば追放されるだろ。
「よし、そうと決まれば早速悪行の限りを尽くそう!」
「おい、そこのお前」
「ん?僕?」
「そうだ。ちょっとこっち来い」
そう意気込んだのもつかの間、急に呼び止められた。
なんだろ?
とりあえず行ってみるか。
「なぁに?」
「お前、結構いい服着てるじゃないか」
あ〜、これあれだ。
テンプレの貴族が平民に難癖つけて身ぐるみ汚されるやつだあ…とか思ってたら。
「誰から贈られた?」
「さぁ…?」
おっ、風向き変わってきたな…?
この世界って普通のよくある恋愛ゲーみたいな感じじゃなかったっけ?
今みたいな何かちょっとヤバそうな目つきで迫ってくるのなんて、もう最終盤で選択肢ミスった時ぐらいでは?
それだと主人公がパーフェクトコミュニケーションして撃退するんだけど。
「誰から貰ったか覚えてないのか?」
「まぁ……はい」
ちょっと下手に出る感じで話してみる。
これ上手くいくんじゃない?
このままはぐらかせればラッキーって所か?
よし、この路線でいこう!
「そうか……じゃあいい。もう行っていいぞ」
え〜、それだけかよ〜。
いやまぁすぐ解放してくれるのはいいけどさ。
なんか面白いなこれ。
このまま攻略対象っぽいヤツらの傍若無人っぷりを観察でもしようかな?
「…思った以上にいっぱい居そうな気もするけど」
*
誰にも見向きしないあの子を振り向かそうと誰もが手を尽くす。
物を贈るのはいつものことで、時には食事にも連れて行ったりする。
誰もが誰も、ライバルを蹴落とそうと必死で、そして自分の欲しいものの為ならなんでもする。
ある意味強さが絶対なこの場所で、あの子の待遇はまさにそれを体現していた。
それが面白くない者のなんと多いことか。
そんな自分もあの子に魅入られたひとりだけども。
「ねぇ、キミ」
「はい?僕ですか?」
「そうキミだよ」
「えっと……何か御用でしょうか……?」
あ〜、可愛いなぁもう!
そのちょっとオドオドした感じがまたそそるんだよなぁ。
「ちょっとどこかに食べに行かないかい?」
「え、いや、間に合ってます…」
…あらら。
もしくは魔性、修羅場量産機とも。