さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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仕方ないよね〜。



魂から惹かれる

そのマンションで暮らし始めたのは、祖父から勧められたからだった。

いきなり入居するのは無理そうな豪華っぷりだったがそこは祖父。

なんやかんや昔のツテを使い…ってやつみたい。

 

「ほんと、高級マンションってこんなのを言うんだろうね」

 

高層階の部屋でひとりごちる。

前までの趣のある部屋と違う感じに多少の居心地の悪さを感じるが「防犯面は大事だからネ」と妙に力説されたのを思い出すと、まあ仕方ないか……という気にもなる。

 

「さてと、今日は何をしようかな……」

 

とりあえず、朝ご飯を食べながら今日の行動予定を考えよう。

 

「あ」

 

そういえば……。

 

「お隣さんに挨拶しそびれちゃってたな……」

 

引っ越してきた時にご挨拶に伺ったけど不在だったんだよね……。

それから荷解きとかそういうので時間を取られちゃって、

 

「思い立ったが吉日」

 

そう思った僕は用意していた引っ越してきましたの挨拶用の品を、これから引っ越してくる人に渡す予定のタオルを用意する。

 

「居られるかしら」

 

呼び鈴を押す。

 

「……(ドキドキ)」

 

暫く待っているとガチャと鍵を回す音がして扉が開いた。

中から出てきたのはまさに部屋着!って服に身を包んだ青年で。

ここって確か家賃が結構な額だったはずだけど、稼いでる人なんだなぁ……なんて思いながら、とりあえず挨拶する。

 

「こんにちは、隣に引っ越してきたシルバーバレットです。これご挨拶にどうぞ」

 

お隣さんは唸るように「あぁ」とだけ言ってタオルを受け取った。

 

「それでは、これからよろしくお願いします」

 

そう告げて、お隣さんが扉を閉めるのを確認してから僕も自分の部屋に戻るのだった。

 

「あ、名前聞き忘れちゃった」

 

でもお隣の人がどんな人かなんて知らなくてもいいのでは?

お隣さんはお隣さんで、僕は僕。

そんな関係でいいじゃない。

 

「ま……いっか……」

 

荷物も残ってるし、片付けなくちゃ。

僕は部屋に戻りながらそんなことを考えるのだった。

 

 

「よォ、」

「あ…どうも」

 

夜、タバコをベランダで吸っていると隣から声をかけられた。

そちらに目を向けるとお隣さんが同じようにタバコを吸っていた。

…やっぱりめちゃくちゃ好みだこの人。

 

「あ、あの……お隣さんは……」

「あ?」

 

お隣さんは少し不機嫌そうに僕を見た。

あ、やっちゃったかな……?

でもその目付きも好き!

 

「あ、いえ……この前挨拶しましたけど、はい」

「あぁ」

「僕はシルバーバレットって言います。よろしくお願いします」

 

お隣さんは僕の名前に反応してゆるく微笑んだ…ように見える。

そして何かを考えるような仕草をしてから口を開いた。

 

「……俺はサンデー。サンデーサイレンスだ」

 





どこの世界でも親友になるんだよね知ってる。
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