さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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オグリ以外のカサマツといえば…な枠になってる模様。



『砂塵の稲妻』

あの頃。

カサマツのトレセン学園に入るのは選択肢の内のひとつでしかなかった。

それよりも「あそこのガッコーの制服が可愛いから…」と違うところを目指していたぐらいだった。

それを変えたのは、

 

「…すげぇ」

 

当時、カサマツトレセンに物凄い選手が現れたと話題になっていて。

その選手が東海ダービーに出るからと周りの熱狂に引かれるがままに見に行って。

三人揃って、一目惚れした。

途中まで誰よりも最後方を走って、「あれは無理だろ」と諦めかけた瞬間、爆ぜるように。

まるで稲妻のような勢いで全員追い抜かしていった。

他の出走者なんか目もくれず、ゴール板を一番に駆け抜けた。

その背中は今でもはっきり思い出せる。

 

「『砂塵の稲妻』……」

「あ!それだ!」

 

思わず呟いた言葉に、ミニーザレディが手を叩いた。

思わず出たソレが妙にしっくりきて。

いずれ、確かにそう呼ばれるあの背中に追いつきたくて、カサマツトレセンを目指したのだ。

けれど、

 

(…どうして)

 

憧れが見出したのはあの泥ウサギ-まぁ今となっては納得だが、で。

甲斐甲斐しく先輩として世話を焼いている姿に羨望を抱かないやつがいるかと。

だって────あの人は私たちの憧れなのだ。

負ける時は負けるけど、ひどくひどく華々しい。

中央に誘われたこともあるが、それでもカサマツを選び、それでもしつこく中央の人間がスカウトに来た時も。

 

『すんません。オレはカサマツに骨を埋めるって決めてるんで』

 

そう中央を袖にしたあの人は、『砂塵の稲妻』はカサマツトレセンの伝説なのだ。

だから、

 

(なんで)

(なんであいつが!)

 

 

ありがたいことに、オレはとても慕われている。

オレに憧れてカサマツに…という新入生が随分といるらしいと聞いた時はおったまげたものだが。

たまに、何故か異様にオレへの憧れを主張してくる後輩もいるが、まぁ大体は『カサマツの砂塵の稲妻(オレ)』を追いかけてやってきたらしいから仕方ない……のかもしれない。

そんなオレに憧れてカサマツを目指す新入生たちが多い中。

 

「先輩」

「お〜」

 

珍しい奴。

オレのことを知らないというソイツはどういった縁か、オレのトレーナーに引き取られ順調にトレーニングを行っている。

…「今度こそ自分の力で東海ダービーを獲りたい」というトレーナーにはちょっと思うところもあるが。

 

「併走しようぜ〜」

「はい」

 

可愛い後輩だ。

オレ並の逸材だと連れて来られた際には「オレよか才能あるだろ」と思ったが。

 

「中央でも頑張れよ」

「…先輩も一緒に来ればよかったのに」

「ばーか」

 





地方で結構走ってるクレイジイブラツド産駒だったりする。
時たま中央にもいるけど大半が地方所属…で中央遠征してきて勝ってたりとか。
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