そもそも覚えてすらいない。
もう疲れた。
いずれ傷つくなら一人でいいと思った。
そばにいるのも、一番初めに俺を守ってくれると言ってくれた先輩だけでいいと。
だがしかし、
「隣失礼〜」
努めて気楽な声音で俺の隣に座るソイツ-セイウンスカイ。
先輩ぐらいにしか見つけに来れないようなところを選んでいるはずなのに、なぜかコイツは俺を見つける。
「また来た」
「また来ちゃいました」
俺の皮肉を意にも介さず、セイウンスカイは笑う。
「今日は何するんだ」
「特に何も決めてませんが、強いて言うなら昼寝ですかね〜」
「あっそ」
そんな会話もそこそこに、彼は俺の肩に頭を乗せてくる。
「重い」
「お構いなく〜」
いや、構うだろ。
そう言いたいが、言ったが最後あれよあれよと言いくるめられるのがこれまでの日常で分かりきっているため、俺はぐっとこらえる。
そして、
「チャンプくん」
「なんだ」
「約束は守り続けてくださいね〜」
そんなことを言って、俺をからかうように笑うセイウンスカイ。
その笑顔にドキッとしたなんて、絶対に言ってやらないと心に誓った。
…そもそも『約束』自体、何か分からないということも内緒ではあるが。
*
ずっとずっと、覚えていた。
『お前との子なら、強くなりそう』
芒洋として、それでいて狂った目が俺を射抜く。
彼は自分に自信がなくて、自分を認められなくて、それ故に他人を過大評価する癖があって。
その一環だったと、知っている。
だがしかし、数多から求められる彼に求められた数少ない存在だという事実に、俺は確かに歓喜していた。
そして、それは彼の思い通りだったのだろう。
「チャンプくん」
「なんだ」
「……いえ、やっぱなんでもないです」
彼との約束を。
それを今言っても仕方のないことだと、俺は知っているから。
*
……セイウンスカイと俺の間には約束が交わされているらしい。
らしいというのは、俺自身も詳しいことは分からないからである。
『いつかわかる日が来たら教えてあげますよ』
そんなことを言ってはぐらかされたままであるし、そもそも俺とアイツの間にそんな約束をするようなことがあったかと言われれば…学園入ってが初対面のはずだから、そんな約束交わす道理もない。
『チャンプくんは誰のことも気にも留めていない』
いつかのセイウンスカイの声がふと蘇る。
なぜあの時に返答ができなかったのか、それは俺にも分からないけれど。
「俺はお前のことを気にしてるよ」
そう呟いた俺の言葉は、風に乗って消えた。
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・
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「…何も分からないくせして」
思わせぶりなことを。
たぶんどこの世界線に行ってもこう。