さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あなたを好きになる。



何度でも

単純に、つまらない話だろう。

誰もが求めるヒーローを落としてしまっただけ。

だがそれが普通と違うのは何度生まれ変わってもそうなるということで。

 

「グローリー」

「なぁに」

 

よくもまぁ、何度も何度も飽きないこと。

どの世界でもモテまくっている癖に目の前のこのウマはいつだって僕を選ぶのだ。

隆々とした立派な体に目の醒めるような美しい栗毛。

戦績だって問題ない……のに。

 

「僕のどんなとこが好きなの?」

「どこも好きだよ」

 

はぁ、とため息を着く。

僕が牝バになる確率はそこそこに低いのに。

それでもこのウマは僕を選んでしまう。

 

「……僕はね、」

「うん」

「キミのことなんて、好きじゃないよ」

「知ってるよ」

「でもキミは僕が好き?」

「……そうだね、好きだよ。だからこうしてるのさ」

「そう……」

 

この関係に名前をつけるなら何になるのだろう。

恋とか愛とかそんな綺麗なものじゃないし。

かといってただの友情でもないし。

そんな曖昧なもの、と切り捨ててしまえばいいけれど。

 

「じゃあさ、もし僕が他の人を選んだら?」

 

ボソリと質問する。

瞬間、首が締まるくらいに勢いよくネクタイを引っ張られて、

 

「ダメ」

 

目があう。

 

「っ、」

「ダメだよ。絶対にさせない」

 

冷たい瞳なのに、どうしてそんなに愛おしそうな顔をしているの?

キミは本当に何を考えているの?

ああ、やだやだな……この気持ちも何度目だろう。

僕の人生はいつだって退屈で面白みなんて欠片もないはずなのに。

 

「……わかったよ」

 

それでも不思議と悪くはないと思っているのだから本当に笑えてくる。

こうして僕は何度も生まれ変わる。

その度にこのウマが僕を迎えに来るのだ。

いやまぁ……迎えに来る以前に幼なじみってこともあるのだけどね。

 

 

あの子は美しいウマである。

秘密裏にファンクラブができてるなんてしょっちゅうだし、密かに想われてるなんてことも。

 

「スー」

「…はぁい」

 

でも。

何度生まれ変わってもキミが選ぶのは僕だ。

その事実だけで僕は少し報われたような気になっている。

キミは知らないかもしれないけれどね。

 

 

初めは普通に女の子が好きだったって言ったら、信じてくれるだろうか?

いや、信じないだろうなぁ……なんて苦笑いをして珈琲を啜る。

例えば僕がめちゃくちゃなプレイボーイだったとしてもキミは僕のことを好きだと言ってくれるのかな?

それとも本気で嫌われるのかも……どっちにしたっていいこと無いな。

 

「変なこと考えてるね」

「考えてないよ。気のせいだよ」

「…ふぅん?」





それが道理。
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