さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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仏、といえるシロモノだろうか。


◆知らぬが…

シルバーバレットは鈍い。

それは彼女を知る人間の満場一致の意見だった。

それでいて、自分が他人に好かれていることを認めようとせず、自分よりももっとお似合いの人がいると身を引くのだ。

彼女が懐に入れている人間はトレーナーだけではないだろうか、と今まで思っていたのだが、

 

「あっ、見に来てたのサンデー!」

「おー」

「どうだった?僕完璧だったでしょう?!」

「おー、強かった強かった」

 

サンデーサイレンス。

最近シルバーバレットの懐に入れられた一人。

外国からある名家に招集された彼女はいとも簡単にシルバーバレットの視線を奪っていった。

正直に言うと憎い。

彼女の近くにいたのは私の方が長いのに、何で私じゃなくてソイツなのと思わず泣き叫びそうになる。

シルバーバレットの優しい優しい友人の顔をしながら、その薄皮一枚下では今にも「私だけを見て」と掴みかかりそうで。

 

「サンデー、待っててよ」

「分かってるって」

「じゃあまた後でー」

 

笑う、笑う、彼女が笑う。

私に向けることの無い顔で私以外に笑いかける。

その顔にドキリとしてしまったのに、また憎しみが積み上がった。

 

 

外国に行ってしまったキミのSNSを暇な時に見るのはもはや日課だった。

頼み込んで教えてもらったアカウントにメッセージを送っても帰ってこないから。

寝ている間に更新されていたタイムラインには新しい友だちさんと仲良く写っている写真。

 

それを見ながら僕とは、僕とはそんなことしてくれなかったじゃないか、と思う。

僕はずっとキミを見ていたのに、つれないキミはこことは違うどこかへ行ってしまった。

写真の中のキミは仕方なさそうに、それでいて楽しそうに笑っている。

僕の記憶の中にいるキミはずっと不機嫌そうなのに、どうして。

 

「どうして、僕じゃないの…!」

 

どこにも行けない僕を置いて、キミは自由に飛んでいった。

ずっとずっと、あの頃のままだったらよかったのにと思ったのもこれで何度目だろう。

…ねぇ、もし、今でもあの頃のままだったなら、キミは僕の傍に居続けてくれたかな?

僕の運命のライバル、宿敵よ。

 

……でね、秘密だったんだけど、僕は、キミのその目が好きだったんだ。

僕を、自分を認めない世界を、心底憎んでいるというような睨めつける目が。

聞くに耐えない罵倒を繰り出すその声も今となっては懐かしいと思う。寂しくなる。

 

あのお友だちさんと、キミはどんな話をするのだろう。

そんな夢想をする度に今度はキミがここにいなくてよかったと手のひら返しをするのだ。

だって、きっと、その光景を見たら僕はおかしくなってしまうから。

 

キミひとりだけしかフォローしていないSNSが、また更新されるのを知っている。

そう、知りつつも仕事のためにプツリと電源を落とした僕だった。

 





銀弾&SS:
何も知らない。何も知らないまま仲良くマブやっている。

激重勢:
自分だけを見て?
なんで自分じゃなくてそんなヤツのこと見とるねんの気持ち。
そんなヤツよりも自分の方が魅力的だろ?って思ってる。
でも相手は自分を見てくれない。…可哀想だね。
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