さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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あれ〜?



突如、唐突

ちょっとまずって死んだ。

まぁ子どもを守って死ぬという僕らしい終わりであったのはあったのだが。

 

『さすがにキミの前で死ぬのはやりすぎたよね〜』

 

それがまさかのデート中の折であったのでいきなりスプラッタ映像を見せてしまったようなもの。

車輪に巻き込まれた時点で意識は飛んでたので、その後のことは知らない。

 

『でも、キミのあんな顔が見られたから僕は満足だよ』

 

次に目覚めた(?)のは完全に僕の葬式の時で。

棺の蓋も開けられないほどぐっちゃぐちゃになった僕を見た時はさすがに「うわぁ……」ってなったけど。

 

『それにしてもひどい顔だった。まるで世界が滅亡するって聞かされた時のような』

 

顔色は白通り越して青く、唇すら血色がない。

ご飯ちゃんと食ってんのかな?と思うぐらいには不健康な顔をしていた。

 

『でも、そうか。死んだのか』

 

改めて遺影に目を向けるとなんだか笑えてくる。

やっぱり僕は救えない人間なんだな、って。

 

『それにしてもこれからどうするんだろう』

 

ふたりで建てた家はまだ新品に近い。

ふたり揃って汚すタイプでもなかったし、僕が死んだからってすぐにまた売り払うのも、うん。

 

『売り払うにも色々片付けとかあるだろうしね』

 

僕としては別にどっちでもいい。

というか早く他の人見つければいいと思う。

初めから僕なんかにはもったいない人だったわけだし、もっといい人がいるだろう、って。

 

『まぁモテるよね、キミのことだし』

 

すぐ慰めてくれる子が出そう。

それで僕なんかとよりいい生活ができると思う。

僕と付き合ってからも人気だったもの、キミ。

よく呼び出されたの見てたからね。

 

『お情けで僕と付き合ってくれてただけで、あーよかった……ほんと、時間無駄にしなくてすんで』

 

頬を涙が伝う。

もう枯れたと思ったんだけどなぁ……。

 

『キミはさ、もっといい人見つけて幸せになりなよ』

 

そう僕の遺影を見つめるキミに語りかける。

 

『僕はね、最期までキミのような『好き』を抱けなかったよ』

 

でも。

 

『それでも僕は、キミが大好きだ』

 

そんな僕の言葉も届くことなく、キミは泣くばかり。

 

『好きな人を泣かせてばかりだね、ほんと』

 

キミの涙を拭いてあげたい、でも透けている僕にはできない。

それがもどかしくて、でもキミの涙は見たくなくて。

だから僕はそっと目を閉じた。

それから少しして。

キミの泣き声が聞こえたから、僕はまた目を開けて。

そこには僕の遺影にすがって泣いているキミがいた。

よくもまぁ飽きもせず。

…と思いながらも僕はその様子を見て笑う。

泣き喚いて、顔はぐちゃぐちゃ。

普段のかっこよさが嘘みたいな顔。

それを誰かに見られなくて本当に良かったと思った。

キミは早くいい人を見つけた方がいいよ。

僕の分も、もっとずっとキミを愛せる人と一緒になってほしいな、って。

…そう、願ってたんだけど。

 

『誰かとくっつく気配ないなぁ』





なんで僕以外とくっつかないんだろ?
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