さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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こたえたくて、むくいたくて。



絶対嘘じゃない

どの世界でも、ステイゴールドはシルバーチャンプを救えない。

それが『俺』の時であれ、『私』の時であれ、それ以外の時であれ。

 

「…なんでだよ」

 

お前を救うのは、いつだってお前自身だった。

救われて、自分に向けられる"ソレ"を"愛"だと謳う。

 

「お前は、"ソレ"を捨ててよかったんだ」

 

どの世界でも、シルバーチャンプが生まれた頃から向けられた"ソレ"────『期待』。

一個体に向けられるにしては澱み、重すぎるソレはいつもお前を苛んでいたのに。

お前は、その重さに耐えかねているというのに。

 

「どうして」

 

おまえは。

おまえは、いつも。

 

「"ソレ"を、愛せるというんだ」

 

向けられた『期待』に答えたい。

向けられた『期待』に報いたい。

それは、聞こえのいい言葉であるけれど。

 

「誰も、お前のことを救わなかったじゃないか」

 

ステイゴールドも、含めて。

 

 

先輩は変な人だと思う。

こんな俺なんかのことをとても大切にしてくれる。

今は離れて久しいけれど、同室だった頃はあれだけ旅好きの癖に一度も旅に出たことがなかった。

先輩があそこまでの旅好きだと知ったのも、同室が解消されてからだった。

 

「よう、帰ったぞチャンプ」

「…なんで毎回俺の元に真っ先に来るんですか」

 

あなたのことを待っている人たちがたくさんいるのに。

いつも先輩は真っ先に俺の元に来る。

今回はどこまで行っていたのだろう、少し服にやや大きめのほつれが見える。

 

「なんでって…、私がお前に会いたかったからだよ」

「……はぁ」

 

伸びてきた先輩の手が、ゆるりと俺の頬を撫でる。

手袋越しの体温は、いやに熱かった。

 

「私がいない間はどうだった?」

「特段何も」

「そうか」

 

そんなに心配すること、ないのに。

今までと変わらず、取材が来ただけ。

俺に対してではない、────"あの人"に対しての。

これでも、この学園に来てからはマシになった方なのだから。

 

「次は、いつ旅に出るんですか」

「……しばらくはいることにするよ」

 

珍しい。

そう思っていると、「また、牽制しておかなくちゃな」と変なことを。

 

「どうせ増えてるんだろ?お前を慕うやつが」

「そう、ですね…」

 

そうだ。

何故だか分からないが、俺を尊敬しているという後輩が年々増加傾向にあって。

その言葉を聞くたびに、俺は。

 

「チャンプ」

「…はい」

「私だけを、見てろ」

 

ガッと勢いよく頬を挟まれ、目と目が至近距離に。

 

「────はい」

「……分かっていればいいんだ」

 

変な先輩。

いや、変なのはきっと…。

 

「とりあえず何か腹を満たしたいもんだな。一緒に行こうか、チャンプ」

「…あんま食べられませんけど、俺」

「知ってるさ。私がお前と一緒に食べたいだけだ」

「…そうですか」





あいしてる!
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