さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ぐるりぐるり。



絡め取られて

気づけば付き合っていた。

まぁ元々距離が近かったと言われればそうだし、ふたり揃って満更でもなかったから。

 

「先輩」

「チャンプ」

 

先輩は、いつも俺をやさしく抱きしめてくれる。

同期たちからは「いつでも相談に乗るから!」と言われているがそういった不安も特にない。

先輩は素敵な人だ。

身長差がほぼないってのもいい。

俺の嫌がることはしないし、よく気遣ってくれる。

そして何より、俺の話をいつもちゃんと聞いてくれる。

だから俺も先輩の言うことを聞くし、先輩が何かしてくれたら感謝を忘れないようにしてるし。

でも先輩はたまに不安がるから、そういう時は抱きしめてあげてる……まぁ俺より先輩のほうが包容力あるから、俺が抱きしめられてるって形になるけど……。

それでも俺は満足してるし幸せだ!

……と、思ってたんだけど……最近ちょっと違うことを感じるようになったんだ……。

 

(……ドキドキする)

 

先輩のしっぽが俺のしっぽに巻きついている。

「仲いいヤツ同士でするんだよ」と教えられるままにしていることだが、いつもそれ見た人にギョッとされるんだよな。

先輩はしっぽの使い方も上手いから、たまにはお前からしろって言われそうだけど。

それにたまにだけど、人前で先輩から俺にくっついてくることがある。

その時が特にドキドキする……気がする……。

……いや、違うか!

俺が先輩を好きだからだ!

だからこんなにドキドキするんだ!!

 

(……でも)

 

先輩は俺のことどう思ってるんだろ?

いやもちろん好きだって言ってくれるし俺も言うけども!

 

(……俺ばっかな気がする)

 

俺は先輩に好かれてる自信あるけど、先輩の好きは俺のとは違うのかな……?と最近思うようになってきた。

とはいえ愛し合うという行為のイメージ元が父さんと母さんだからなのかもしれないが。

 

 

何も知らない後輩をそのまま絡めとった。

俺のことを無条件に信頼する後輩は俺が求めるままに俺好みにされていき。

周りのヤツらが自分をどう見ているかなんて全くもって自覚のないやつだから一身に俺のことを愛している。

聞くに後輩の血筋は一途らしく、そしてその横恋慕される魔性度も似たようなものと。

 

(危なっかしい)

 

アイツが俺のことを愛しているのは理解しているが、俺のモノになったのに横からかすめ取ろうとするやつの多いこと多いこと。

全く、全員この世から消せるのなら楽なんだがな。

でもそんなことをしようものならアイツが悲しむ。

だから俺は自分の思いを暇さえあれば伝えていくことにした。

不安に思うことがないように、言葉だけでなく行動で伝えるのも忘れない。

 

(……だって)

『先輩!』





もう離れられない!
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