愛が重いってぇ!
『…どういうアレ?』
その日、米国トレセン学園はファン感謝祭で。
各々楽しんだり、何かイベントの実行役として出たりしている中で一際目立つふたり…。
「グローリー、降ろしてよう」
「…ダメ」
皆の視線を集める二人の格好は対照的だ。
小柄な方はクラシカルなシスター服(しかし毒なまでに白い生脚が見える)で、また大柄な方も神父服(しかし悪魔の羽根が見える)という、もう何から突っ込んで良いのか分からない格好。
「グローリーのばかぁ」
「バカじゃない。……ほら、着いたよ」
その格好で堂々と正門をくぐり、そのまま学園内へ入っていく。
「……そう言えばさ」
ふと思い出したように小柄な方が口を開くと、神父服の方が視線だけ向ける。
「なに?」
「何でこの衣装なの? 僕、シスター服なんて初めて着たよ?」
「それは……」
少し言い淀んでから神父服の方は答える。
「似合うと思って」
「…えへ。グローリーも、カッコイイよ」
「ありがとう」
それにしても、小柄とはいえ人ひとりを片手で抱き上げる神父服の方と、シスター服の小柄なカップルは、何というか……とても目立つ。
「ねぇグローリー」
「なに?」
「……何で僕、学園内に入ったのにまだ抱き上げられたままなの?」
「お客さんがいっぱいいるからね。人混みに流されて迷子になるかもしれないよ?」
「僕、子どもじゃないよ」
「……うん。知ってるよ」
「あ、アレ美味しそうだねえ」
そうこうしているうちに二人は中央ホールまでやって来た。
『あ、来た来た!』
そこに待ち構えていたのは……。
『やほ〜、おふたりさん。今日もおアツいねぇ』
学園でも有名な新聞部のウマだ。
レース以外のいつもカメラを持っているような生粋の記者で、色んな意味で学園内に名を馳せている。
「こんにちは、新聞部さん」
『どうもです〜』
小柄な方が挨拶を返すと神父服の方も軽く会釈する。
『今日はお二人にインタビューさせて欲しくて来ちゃいました』
「インタビュー?」
小柄な方は首を傾げるが、神父服の方は何となく察しがついたようで……。
「……もしかして、アレですか?」
『はい! おふたりがあの“誓いのキス”をするに至った経緯を是非とも!』
「…え〜、事故ですよただの。大袈裟だなあ」
「事故じゃないよ。僕は、本気だよ?」
『……は?』
新聞部のウマが何か言う前に小柄な方が口を開く。
「……グローリー」
「何?」
「したいなら、すれば?」
「ん」
『え』
『え』と新聞部のウマが言った瞬間には二人の唇が重なっていた。
『おわ!?』
「ん……」
神父服の方は慣れた様子で小柄な方を抱き寄せながら…なのに対し、記者であるウマは「ひゃ〜」というように目を手で隠す(しかしちゃっかり隙間を開けている)。
「…撮りました?」
『あっ』
「じゃもう一度」
『ひえ〜…』
牽制に余念が無いグローリーゴアさん。