さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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役得だけど!!!!



独り善がりだったのに!

人を好きになるって、そんなに幸せなことなんだろうか。

 

「…」

 

ウチの家系はおおかた、だいぶ愛が重い。

相思相愛ではあるが良く軽く病むし、牽制とかもしょっちゅう。

こちらは見慣れたものだけど、第三者が見たらギョッとするだろう。

そんな家系の中で自分はそれを冷めた目で見ていた。

昔から、他人と関わるのが上手くいかない人生だった。

遠くから、楽しそうな周りを見つめるのみだった。

別に、家族がやってるように愛されたいわけではない。

ただ、普通に、仲良くしたいだけ。

でもそれは叶わない願いだった。

だから、──自分は愛を信じないことにした。

そんなのはまやかしで、すぐに消えてしまうものだと。

 

「███!」

 

でも、それを覆す存在が現れたのだ。

彼女はとても優しくて、明るくて。

こんな自分と一緒にいてくれて、笑いかけてくれる。

それが嬉しくて、幸せで。

……だからだろうか。

相手の愛に甘えてしまったのは。

いや……きっと違うだろう。

きっと……自分はずっと前から相手のことを───。

 

*

 

"前"、あの子はひとりぼっちだった。

世話してくれた人々がしていた話から合算するに両親ともに晩年の子で、赤子の頃に両親諸共死亡。

きょうだいも歳が離れていた上に遠に全員亡くなっていた。

本当の本当に、────天涯孤独。

 

『……』

 

その立ち姿に誰もが見蕩れていた。

美貌というわけではない、けれど人を惹き付けずにはいられない。

そういう雰囲気があった。

ひとりになったあの子は、ありふれた日常をつつがなく送っていた。

もうすっかり見慣れてしまった、どうでもいい人生を繰り返しながら日々を生きるのだ。

そんなあの子に自分は声をかけた。

……ただの独りよがりだ。

"ひとりじゃないよ"なんて言葉をかける資格も権利もなくて。

"一緒にいようよ"なんて言えるほど強くなくて。

"友だちになろうよ"なんて厚かましいことも言えない。

 

ただ、邪魔にならない程度、視界の隅にいただけ。

他の同族のようにこっちを見て欲しくて騒いだり、そういうのをしなかっただけ。

でも、ある日のこと。

その子は声をかけてきたのだ。

"あなたは誰なの?"って。

その問いかけが嬉しくて、それだけで。

 

────しあわせ、だったんだ。

 

だから。

 

「……」

「?」

 

こんなのは想定してなかったって!

ぴったりと自分に引っ付いてくるあの子に内心ビビり散らかす。

今世も魅力的なウマであるので、周りは血涙と言えそうなほどの顔でこっちを睨んできているし!

 

「…なんでもないよ」

「そう?」





そういうところあるよね…。
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