さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そういうわけではない話。



どっちつかず

何とも奇特なことに僕のことが好きらしい。

真剣に「好きだ」と告白してきた友人の姿に「そう」と返せば「本気だ」と手を掴まれる。

 

「…痛いよ」

「離したら逃げるだろう」

「……」

 

図星だった。

だってまさか友人に好かれているとは思わなかったのだ。

今までのそれとないアプローチも勘違いだと気づかない振りをしてはいたけど、それもいつまで続くだろうかと思っていたくらいだ。

そもそも僕は最初から恋愛に興味を持てないし、恋愛感情の不確かな揺らぎになんて微塵も興味はなかった。

だけどここではっきりと拒絶の言葉を吐いてしまえばこの友情を失ってしまうのではないかと思うと口にできず。

だから今まで曖昧にして逃げてきたというのに。

まさかそれがこんな結果を生むなんて思いもよらなかったのだ。

友人は僕の手を強く握ったまま、その熱っぽい視線を僕に向けているが正直言って早くどこかに行きたい。

だってそうだろう?

そんな目で見られても僕はお望みのモノを返せるわけなんてなく。

だいたいが恋愛なんて自己満足にすぎない。

友人同士の範疇だし、いつかはとあれこれ理由をつけては否定をして。

そんな一方的な考えをするやつといったい誰が幸せになれるのだろうか?

そりゃ勿論好きな相手だから盲目なんだという気持ちも分からなくはないけれど、それを実践できるほどの想いを僕は持ち合わせていないのだ。

結局時間の経過を待つしかないんだと思って今までのらりくらりと逃げてきたのに、まさかそのツケがこんな形で回ってくるとは思いもしなかった。

 

「冗談キツイよ」

「…なら、嫌がればよかったじゃないか」

「……、」

 

手を繋がれるのも、ハグされるのも、ましてや。

そのすべてを拒絶もせず受け入れていたらそりゃそうもなるのか。

あの後、泣き始めた友人に呆然としてしまった。

いやまさかあんなにショックを与えてしまうとは思わなかったのだ。

だから慌てて謝り倒して帰ってもらったんだけども、さて困ったことにその日以降どうにも友人が僕を見る目つきが変わった気がするんだ。

前ならば何てことなかったふれあいが人前でも友だちの枠を超えているようなものになり始めていて困りものだと思ってはいたけど……いつも通りの対応はまずかったらしい。

 

「付き合ってるの?」

「いや、別に?」

「付き合ってないなら、止めた方がいいと思うけど」

「まぁ、僕は嫌じゃないから…」

 

他の友人たちに詰問されるようになった。

僕は気にしてないと言っても事ある毎になんやかんやと言われてしまい…。

 

「どうしよっかなぁ…」





別に嫌ではないし…。
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