ぼくだけのあなた。
閉じ込められた。
特に何もした覚えはない。
犯人は己が親友である。
学園入学から数年来、生活を共にした仲だ。
目覚めた瞬間に自ら自白してきたため犯人は彼女で間違いがないのだが、 ……しかし、何のために?
それが解らなかった。
*
やっと目覚めた彼女は、ふと気付いたように呟いた。
───……ああ、これは夢か。
驚くのも無理はない。
昨日までは特段変わりなく日常を送っていたのだ。
間違ってもこんな、窓ひとつない部屋に来る予定は彼女には無かったのだから。
それからぐるりと周りを見回して、自分を視界に収めてぱたりと瞬きした。
皆目現状が検討つかないというような顔でこちらをただ見つめる姿にクスリと笑って、頬を撫でる。
───おはよう。
───おは、よう…?
まだ夢うつつの頭をどうにか動かして現状を把握しようとしているらしい。
その様子はこんな状況でもやはり愛らしいと思った。
───寝ぼけているのかな?それともまだ夢の中?
───……ここ、███の部屋じゃ、ないの……?
不安そうな響きに、ニコリと笑む。
頬を撫でる手はそのままに、もう片方でベッドサイドからその体を抱き起こした。
───まぁ、そんなことはどうでもいいじゃないか。これからはキミを苛むものは何もないよ。
───……どういう、こと……?
───ねぇ。僕はキミを愛しているんだよ。だから一緒になろう?
頬を撫でた手をそのまま頭の後ろに滑らせて、抱き寄せるようにして。
腕の中でビクリと跳ねる体を押さえつけるようにしながら何度も啄ばむと次第に抵抗する力もなくなって、無表情に色がつく。
───……ね?わかったろ?
───……うん……。わたしも……あなたといっしょにいたい……。
───ありがとう。愛しているよ……。
*
親友は、冷静で穏やかなウマ娘である。
他人と諍いを起こしたところなんて見たことがなく、後輩に対しての面倒見もいい。
家柄もどっちかというと良い方で。
彼女はいつも、微笑んでいた。
その笑顔は、親友の自分以外他の誰にも見せないもので。
そんな顔を自分にだけ見せてくれることが嬉しくて。
……だから、こんなことになったのだろうか?
「───ねぇ、キミはさ。」
「……うん?」
「僕から離れないでね。ずっと側にいてね」
「……?もちろんだよ?」
「……ふふ、ありがとう……。」
こんな場所に閉じ込められているのだからどこにも行けるわけがないのに。
彼女はそれに気付いているだろうか?
いや、きっと気付いていないのだろう。
だってこれは、自分のワガママだ。
自分は彼女を親友だと思っているけれど、それは彼女の本意ではないのだから。
この夢はいつまで続くのだろうか。
彼女が錯覚できるまでか、それとも本当に自分が彼女のモノになるまでか。
……どちらでも構わない。
どちらにせよ、もうここから出る気がしなかった。
計画通り?