内面はね…。
たぶんわたしは、人間とか、ウマ娘とか、そういった知的生命体として生まれ落ちるべきではなかった。
「……」
物心つくのも早く、立って歩くのだって他の同年代の何倍も早く。
二歳、三歳の頃となった時には既に世間では天才と呼んで差し支えないところまで到達していた。
そうして。
『こんなバケモノ産んだ覚えない!』
わたしは、血を分けた両親から拒絶された。
下のきょうだいたちはごく普通の子どもだったのも悪かったのだろう。
体は子どもで頭脳は大人…なんて。
「…」
別に。
悲しくは、なかった。
そういうものだと、その頃には理解して、飲み込んでいた。
がしかし。
「お前、俺ん家来いよ」
遠縁の親戚だった姉貴───シルバアウトレイジとその家族だけはすんなりと、わたしを受け入れてくれた。
はじめはひどく戸惑って、試し行為の何故なに攻撃だとか並外れた身体能力を見せてもごく普通に接してくれて。
「かわいいなぁ、ギャングスタ」
姉貴は暇さえあればわたしを構った。
まるで親から与えられるような無償の愛を注がれて居心地悪かったけれど。
(いやでは、ない…)
*
自身を「姉貴」というその娘をシルバアウトレイジは気にかけていた。
遠縁の、少し歳が離れた娘はほんの少しの交流でもわかるほど天才というやつで。
でも、
(あの家じゃ、ダメだな)
あの娘に、子どもに向けるべきではない視線を向けていたあの家。
いずれそうなると予想していたことが現実になった際、これ幸いとシルバアウトレイジはその娘を引き取った。
元からそんなことがよくある家であったので案外すんなりと了承をもらい。
「いい子だな、ギャングスタ」
「……」
無表情ながらも、かすかにむず痒そうにする姿に微笑む。
プラスの感情を与えられ慣れていない子どもがいつか、素直に愛情を受け取れますようにと。
(我ながら親みたいなこと、思ってらァ)
・
・
・
「キャッチィ」
「なんだ」
「なんだっつーか…うん」
同室であり、唯一無二の宿敵であるウマ娘に俺はため息をつく。
普段はクールなのに二人きりになるとボケになるんだコイツ。
それぞれにベッドがあるのに…。
「私とお前の仲だろう」
「まぁ…そうだけどさァ」
するりと頬を撫でられるのにブンと首を振って回避する。
「ぁ…ごめ、」
「そうだな」
「うわーッ!?」
キャッチィ───キャッチツーツーは普段こんなウマ娘ではない。
本当の、本当に、ない。
真面目で、格好良くって、王子様みたいで。
そんな、そんな…誰もが認めるウマ娘であるのに。
(こんな、バケモノに触れちゃダメだってぇ…)
白の一族からして無償の愛が怖い一族でもある。
何も返せない自分に愛が与えられるとは思ってもみてないのでぇ…。