『夢』を見たから。
魅入られたから。
【追記】
誤字報告ありがとうございます。
父がシルバーチャンプに夢を見たのなら、俺が夢を見たのは…、
「
「……」
綺麗な黒鹿毛の、産まれたばかりの子馬に魅入られた。
見た瞬間に、父にねだった。
あの馬がほしい。
どうしても、どうしても。
誕生日プレゼントもいらない。クリスマスとか正月もいらない。
だから、───彼を買ってくれ、と。
「…分かった」
そんな、俺が魅入られた"彼"の名前は"シルバデユール"という。
*
シルバデユールはひどく利口な馬だった。
そして俺にひどく懐いていた。
「わっ!…待て待て待て、袖べちゃべちゃになるだろうが」
競走馬にしては、そこまで大きくない体格。
けれどその血統から、彼を応援する人は多くて。
「『いつか。いつか。父の名でここへ帰ってこい』か…」
彼の父につけられたポスターの文句を諳んじながらシルバデユールを撫でる。
シルバデユールの父ヒカリデユール。
"サラ系"であった彼を助けたのは、同じく"サラ系"だった、あの…。
「思えばお前って、"サラ系"の純血なんだなぁ」
そうボヤけば不思議そうに首を傾げるのに思わず笑う。
あぁ、本当に、お前ってヤツは…、
「なぁ、シルバデユール」
静かに名を呼べば、真剣な視線を返してくれるお前。
「勝てよ、───宝塚」
お前なら、夢を見せてくれる。
そう、信じている。
*
───シルバデユール。
そう名付けられた競走馬がいた。
父はヒカリデユール、母は"彼"の全妹シルバフォーチュン。
父母ともに"サラ系"から生まれた彼はデビュー前から期待を受けていた。
"サラ系"なら、やってくれるんじゃないかと、遠き日にいた"彼"の姿を重ねられて。
けれど、実らずの時だけがただ過ぎ去った。
好走こそすれ実らない。
この男がいなければ名勝負は成り立たない、名脇役だなんて言われて。言われ続けて。
そうして、───2008年宝塚記念。
『やっと、やっと、やっと!結実する!!』
『今度こそ、キミが主役だ!シルバデユールっっ!!』
ヒーロー列伝 No.██
2001年2月7日生
父ヒカリデユール 母シルバフォーチュン
「……さ、"サラ系"って言われると、か、活躍している
「…で、できるだけ、頑張らせて、も、もらいます」
「ぼ、ぼくには、それぐらいしか、『才能』ってものが、あ、あ、ありませんから…」
純なる"サラ系":
…そ、そりゃあぼくには、み、みんなみたいな、さ、さ、『才能』なんて、ないけどさ。
でも、そっ、それが…
【主な勝ち鞍】宝塚記念(2008)
シルバデユール。2001年2月7日生。2008年引退。
父ヒカリデユール、母シルバフォーチュン。
白銀創の息子である
頭のいいウッマだがクソビビり。
世代は2004年クラシック世代。
何故か()SS系列のウッマに好かれやすい体質。
その中でもいちばん親しい相手は【心の叫び】らしい。
銀の祈りと同じく善戦マン。
何があっても掲示板入りだけは絶対にする。
性格はポジかネガかと聞かれたらネガ。
でもずっといじけてるんじゃなくて最終的には前を向けるタイプのネガ。諦めが悪い。
イメソンは『だって/アタシの/ヒーロー』。
また現役時代に同冠名・同厩舎のよしみで、1年歳下である
その縁ゆえにウマ娘となった暁には
未来の白銀馬主:
シルバデユールに一目惚れし、誕生日もクリスマスも正月もいらないからと強請って買ってもらった。
シルバデユールにはちゃめちゃに懐かれており、よく服の裾を食まれてはべちょべちょにされている。