急募:警戒心。
シルバーチャンプは警戒心が薄い。
弟妹たちには気をつけるようによく言い聞かせるくせに、当の本人がああも警戒心がないようでは救いようがない。
「なにかお困りですか?」
シルバーチャンプは困っている人を放っておけない。
基本は人見知りであるくせに、困っている人を見かけるとホイホイと姿を現してしまう。
他にも人がいるんだから放っておけばいいと何度言っても、困った人がいれば助けてしまう。
その性格が災いして、シルバーチャンプはトラブルに巻き込まれることがあるのだ。
故に、
「…どうしたの?みんな」
じい、と弟妹たちみんなで見つめる。
他称美形の自分たちに何の感情もなく見つめられるのだ、大概の人間はそう時間も経たないうちに去っていく。
それが邪な思いを抱いている人間なら尚更。
シルバーチャンプは美しいウマである。
美しいウマではあるが、自分たち弟妹や母のように触れずらい美ではなく、やわらかな、たまらず触れてしまいたくなるような美しさだ。
シルバーチャンプの美貌は、弟妹たちにとっても自慢だった。
しかし、その容姿が時にトラブルを引き起こすことも知っている。
だからこそ、じいっと見つめる。
じいいいいいいいい…。
そんな弟妹たちに、シルバーチャンプは不思議そうにしながら、それでも弟妹を無下には出来ないのか、ええと、と言葉を探すように視線を彷徨わせることしばし。
やがていつものようにシルバーチャンプを狙う悪い人間が逃げていったところで、口々にやれ何処に行きたいだとか、あれが欲しいだとか、そんなことを言って。
シルバーチャンプはそれに一つ一つ頷いて、「一緒に行こうか」なんて。
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俺のきょうだいはとても心配症だ。
俺としては自分たち自身の心配をして欲しいものだが、ひとたび俺が外に出た瞬間誰かしらがついてきて周りに威嚇するものだから毎度諌めるのも慣れてしまって。
「警戒心が無さすぎる」と顰めっ面で言われては俺もう大人なんだけどな…とか。
「兄さん」
「ン」
今日は久しぶりに一番下の妹とお出かけだ。
俺たちきょうだい唯一の女の子である妹も気づけば立派な大人の年齢だ。
…時が経つのは早いものである。
「俺なんかでよかったのか?」
「だって兄さんが一番センスいいもの」
「…どうかなぁ?」
「勧めてくる値段的にもね」
「それはそうかも」
軽口を叩いているといつの間にやら手を繋がれていた。
しかも随分と強い力で。
(ううん)
疾うにこの子に身長も体格も抜かされている我が身では抵抗なんぞ…。
(まぁ、役得だと思うか)
人知れず守られる長男…。