初恋キラーだね。
友人の子どもに会った。
自分よりもはやく引退した友人は、あの頃と比べると大人びてしまって少し驚いた。
「可愛いね」
そうでしょ?と嬉しそうにしている友人に親バカなんだなぁなんて。
抱かせてもらった子どもはどちらかというと父親の方に似ているようだ。
そういうのにあまり興味がない自分でも知っているぐらいイケメンだというウマに似たと考えると将来有望な子どもなのかもしれない。
暫くして用事を済ませたらしい友人は笑顔で手を振ってくる。
それにこちらも振り返してから、抱っこしていた友人の子を返そうとした…が。
「あれ?」
「……」
ぎゅうと。
子ども特有のぷくぷくした手が服を掴んでいる。
「お母さんが戻って来たよ」と声をかけてみるが、子どもはジッとこちらを見上げてくるだけで服を離そうとはしない。
そしてもう一つ不思議なことに。
「すき」
首を傾げる。
続いて、「およめさんになって」とも。
困って友人の方を見れば「あら〜」とでも言うような、昔みたいな色恋沙汰の噂を聞いては茶化していた時と同じ顔。
……これはもしかして、もしかしなくとも。
友人が何か吹き込んだのでは?
そう考えて、じとりと見やる。
すると友人はゆるりと首を横に振ってから、子どもの頭を優しく撫でた。
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初めて会った時から綺麗なウマ娘だった。
母の一番の友人だというそのウマ娘は母と同い年とは思えないほど容姿が変わらず、とても綺麗な人だった。
母も、容姿は整ってはいるが、その人の綺麗さには敵わないだろう。
そんな人のはじめての"仕事"の相手をするというのはなんだか誇らしかった。
「久しぶりね」
長かった髪はバッサリと切られていた。
それを少し残念に思うが、こちらを見る目は優しくて、愛に溢れているのに少し目頭が熱くなる。
「…はい」
初恋、なのだ。
一目見て、心を奪われて。
やっと競走バになれたと思ったら、貴女がまだ第一線を走っていたのには驚いたが。
プライベートで繋がらなくても好きな人に会えるなんて競走バになって良かったなんて、そんなことを思うぐらいには浮かれていて。
子どもの頃には見れなかった姿は随分と大人びていて、とても綺麗だと思った。
そしてまさか、その人が自分を選んでくれるなんて想像もしてなくて。
ああ自分は今どんなにだらしない顔をしているのだろうと思わず笑ってしまう。
こんなことで泣いてしまうのだからオトナの男なんてまだまだだろうと思ってしまいながら。
それでもこの人の手を握りしめていることが出来る今を噛みしめながら己を撫でる手を甘受するのだった。
時にはこういうこともありえる。