さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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どうやら"あのレース"に出走するウマ娘がアドバイスを求めたようです。



◆求:"門"へのアドバイス

「…『どう勝つか』?

そんなの、いつも通り走ればいいだけさ」

 

問いを示すと、その存在は軽々しくそう返した。

笑って、分かりきっていることを聞くなぁ…とでもいう風に。

 

「まぁ、多少は違うだろうがね。

でも、自分が一番やりやすいやり方で、走れば勝てるよ」

 

笑う。

原点にして、頂点が笑う。

 

「…それにしても、僕には分からないんだよな」

 

笑う。

 

「どうして、みんなは"あのレース"に執着するんだろう?」

 

謳うように、朗らかに。

まるで、歌劇の一部のように。

 

「"あのレース"は、そこまで大層なモノじゃあないよ。

走って勝つか、負けるか。

ただ、それだけさ」

 

いちばん初めに、"門"に至った者が笑う。

唯一、無敗でふたつの世界を制した者が笑う。

 

「まぁ…頑張って。

先達として、応援するよ」

 

【いちばん最初は、"ウマの骨"】

 

*

 

「…"あのレース"の、勝ち方ですか?」

「……うーん」

 

ふたりめは、少しだけ悩んでいる風に見えた。

 

「分かんないです。いつも通り、走っていただけなので!」

 

にこやかに、華やぐように笑う口元。

その笑顔の、なんと純なことか。

 

「でも、そんなに緊張しないでいいと思います。

走っている場所が違うから、緊張すると言われればそれまでですけど…」

 

苦笑する、顔。

でも、

 

「僕は…、あの人ほど才能がありませんでしたから」

「だから、あ(・)れ(・)だ(・)け(・)の時間がかかった」

「あの人のような、怪我に悩まされたことなんてなかったのに」

「…でも、そうすることで経験を積めたんですよね」

 

笑う。

自分を見据えて、笑う顔。

 

「なので、頑張ってくださいね?」

「キミは…、僕よりも『才(・)能(・)』があるでしょうから」

 

二番目に"門"に至った者が微笑む。

生涯、連対を外すことがなかった、者が笑う。

 

「では、頑張ってくださいね。

先輩として、応援しますから」

 

【二番目は、"才能"無き者】

 

*

 

残酷なものだ、と苦々しく思うしかない。

そうは思わないか、とちょうど横にいた存在に聞く。

 

「あ?…ンなの思わねぇよ」

 

が、それが当然、とでも言うように吐き捨てられた。

生涯G(・)1(・)未(・)勝(・)利(・)の(・)ま(・)ま(・)で、"門"にクビまで近づいた者に。

 

「アイツらは、俺の誇りだ」

「ンで、俺が"門"に至れなかったのは、俺自身のせいだ」

「『この世の不利益はすべて当人の能力不足』…って言葉がどっかであったな」

「…まぁ、そういうこった」

「俺には、努力が足りなかった」

「諦めない精神が、足りなかった」

「だから、『努力に勝る才能なし』なんてモノにもなれなかった」

 

────俺ァ、哀れなヤツなンだ。

 

笑う。嗤う。

至れなかった、者がわらう。

それは、…自分たちと如何ほどの『隔絶』だろう。

 

「うン。じゃ、頑張れよ。

応援してっから」

 

【それは、いちと、二の幕間】





【ウマの骨】:
はじまりのウマ娘。
周りがなぜ"あのレース"に執着するのか分からない。
"あのレース"も思ったよりは普通のレースなのになぁ…。
それはそれとして、アドバイスを求めるウマ娘に普通に走れば勝てるよ?を常時する御方でもある(feat.にこやかな笑顔)。

【"才能"無き者】:
比較対象がアレ過ぎて自分に"才能"がないと言うウマ娘。
なら何で生涯連対とかキメて引退してらっしゃるんです?
なおコイツもコイツでいつも通りに走れば大丈夫ですよ!と光属性の笑顔で言ってくる。

【幕間】:
なれなかった誰か。はじまりと二番目の間にいたウマ娘。
生涯G(・)1(・)未(・)勝(・)利(・)の(・)ま(・)ま(・)に、クビ差まで"門"に近づいた存在。
自分には努力が足りなかった…才能も、精神もなかった…。
でも、お前ならいけるはずだよな…?
そう言って何よりも純粋な期待を真剣な目でぶつけてくる。



…そんな残酷×3の話。


だって、"サラ系(ぼくら)"にできたんだから。
ねぇ?

で き る で し ょ う ?
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