さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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妹に振り回される主人公さん。


休養中

どうにかなった。

凄まじい骨折をした僕の足はもとの形には一応戻った。

だが、あれだけ酷い骨折なのでよくよく様子を見るということらしい。

 

足にボルトを突っ込まれた僕はまたリリィのいる牧場へ帰され、一定期間を空けながら足の様子を獣医さんに診てもらう日々が続いていた。

 

シルバーバレットは何とか山を越えた。

ボルトを入れた脚も今のところはどうにもないようでホッと胸を撫で下ろす。

 

シルバーバレットは大事をとって1年間の休養となった。

僕はその間、シルバーバレット以外の馬に乗る。

 

シルバーバレットの馬主さんが、どうか他の馬にも乗ってくれないかと打診してくれたのだ。

一度は断ったのだがどうしてもと頼まれ、何頭かに跨らせてもらっている。

 

『ブルル…、』

 

そのことをシルバーバレットに話すと少し機嫌が悪くなっているような気がする。

「僕には君だけだよ」といつものように言うと『ブルっ、ブルっ』と「調子のいいこと言ってんじゃねぇ!」とでもいう風に服の袖を引っ張られてしまった。

何とか離してもらったけど、この服はもう着れそうにないなぁと伸びてヨレて唾液でビショビショになった袖を見て苦笑した。

 

『おにいたま!』

『ん、どうした』

 

牧場に帰ってきて驚いたことは僕に妹が産まれていたことだ。

妹の名前は"シルバフォーチュン"。

僕の馬主さんがこの子を買ったらしい。

人懐っこいこの子はお世話してくれる人たちにとても可愛がられていた。

従順でイタズラ好き。それでいて構ってもらわないと拗ねる子。

 

僕にはそんな妹が可愛くて仕方がない。

きっと目に入れても痛くないとはこのことをいうのだろう。

 

『あたち、おにいたまみたいになるー』

『そうかそうか』

『おにいたまみたいにはやくはしるのよー』

 

しかし、一緒に走ろうとオネダリしてくるのは困った。

僕は足を怪我してるから走れないんだよと言い含めても『やだー!!』と駄々をこね始めてしまう。

こうなるとこの子は酷く機嫌を損ねてしまうのでお世話してくれる人たちに迷惑をかけてしまう。

 

(どうしよう…)

『おにいたまと走るのー!!』

 

ヤダヤダと頭を振る子にどうしようかと頭を悩ませていると『なにやってんだ』と聞き慣れた声。

 

『リリィ』

『まぁま!』

『ママじゃねぇ、リリィだ』

 

声がした方を向くとお世話する人に手網を引かれたリリィがいた。

どうやら今日の放牧に来たようだ。

 

『んな騒いでどうした』

『おにいたまがあたちとはしってくれない〜!』

『そりゃそうだろ、コイツ怪我してんだから』

『おにいたまとはしりたいの!』

『はいはい、俺が一緒に走ってやるから我慢しな。おら、チビ』

『…ありがとう、リリィ』

 

僕とリリィが入れ替わる。

馬房に戻る道すがら『まぁま、おそいからやだー!』『んだとコラ!?』という声が聞こえたのはまた別の話。




僕:骨折にて1年ほどの休養となった。
妹であるシルバフォーチュンを可愛がっているが彼女のワガママに対応できないところも…。
騎手くんが会いに来てくれることも嬉しいが自分以外の馬に乗っていることは少し気に食わない。

僕の妹:名前はシルバフォーチュン(本当はシルバーフォーチューンだったが字数制限のため伸ばし棒を削った)
お兄ちゃんである僕が大好きな黒鹿毛。体格はまぁ良い方。
甘えたがりでワガママなところがあるけどそういうところを可愛がられている。
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