さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ヒマな時にふらっと裏話を語るだけのアカウントを某青い鳥で開設してみました。
活動報告に詳しいことは書いてるので奇特な方がいれば…。


"世界を塗り替えた者"

僕には、父のような才能がなかった。

父の名はシルバーバレットという。

今もなお『伝説』と呼ばれる馬で、牧場の子たちからも尊敬されていて。

父の子どもであるという証の"シロガネ"の名を冠されたが兄のようにも、姉のようにも僕はなることができなかった。

いつしか僕は逆の意味で有名になっていた。

"シロガネ"の癖に勝てない馬、と。

 

いつだって自分が不甲斐なかった。

僕だってシルバーバレットの、偉大なる父の子なのだ。

他のみんなは父の名を高めているのに、僕だけが父の名を乏しめている。

それが、嫌で嫌でたまらなかった。

 

結局、僕は勝てないまま引退した。

ずっとずっと走り続けた僕を、父の子どもだからと応援してくれていた人もいたが、彼らから贈られる「お疲れ様」の言葉が僕の心に突き刺さってたまらなくて。

「お疲れ様」なんかじゃない。

僕は父の名前を乏しめてばかりだった。

そんな僕に「お疲れ様」なんて言葉、見合うわけがないんだ。

 

そんな感情を抱きながら、生まれ故郷である███牧場に戻って一応功労馬として過ごすはずだった僕は気づいたら異国の地にいた。

一度も勝ったことのない僕を欲しいという奇特な人がいたらしい。

僕よりも凄い兄弟はたくさんいたはずなのに、なんで僕をと思っていた。

けれど、

 

『お前ならできるさ』

 

███牧場から離れる前、父から言われた言葉が脳裏に焼き付いたままで。

父は僕に期待してくれていた。

こんな不肖の息子であるのに、『お前なら大丈夫』と本気で、そう言ってくれた。

なら、ならもう少しだけ。

もう少しだけ、頑張ってみてもいいんじゃないかって。

 

『僕だって、父さんの子なんだから』

 

 

ジャパンカップの地で鮮やかなロイヤルブルーの勝負服が翻る。

先頭をひた走る黒に近い芦毛の馬に、遠い昔の『伝説』を思い浮かべる観客の熱狂は凄まじい。

 

『リペインタージュニア来る!

リペインターだ、リペインターだ!

世界を塗り替えた脚がジャパンカップをも塗り替えた!』

 

その馬は世界をまわってやって来た。

世界を塗り替えるためにやって来た。

その圧倒的な強さは現在世界最強と名高い。

 

そんな彼の父は一介の未勝利馬である。

一度も勝てなかったが、血統を評価され種牡馬となった父の無念を晴らすように彼は世界中を暴れ回った。

 

『リペインタージュニア。

父の名はシロガネリペインタ。

遠き地に渡った"伝説"の血がただいま日本へ帰ってきました!』

 

シルバーバレットを父に持つシロガネリペインタ。

近い未来、『世界を塗り替えた者』と称される彼の初年度産駒が、このリペインタージュニアであった。

 

 





世界を塗り替えた者:
シロガネリペインタ。父シルバーバレットの牡馬。
実は銀弾産駒の中では最後の方の生まれ。
父の競走能力は受け継がなかったが、繁殖能力は受け継いだと後に称される。銀弾産駒の繁殖方面での最高傑作(牡)。
最高傑作(牝)の方は…、まぁいろいろ血で血を洗う論争があるので…。

競走馬としては一度も勝てないまま引退し、生まれ故郷である███牧場で繋養されようとしたところをロイヤルブルーの勝負服の元へ買われていった。
そこで初年度から英三冠馬となるリペインタージュニアを出す。
またリペインタージュニア以外にも数々の産駒を出し、世界に血を蒔いた。
なおいつかの未来で"シロガネリペインタ系"となる模様。

塗り替える者Jr:
リペインタージュニア。芦毛。
父シロガネリペインタの牡馬。英三冠馬であり後の凱旋門賞馬。
血で世界を塗り替えた父とは別に脚で世界を塗り替えた馬。
この子が生まれた時点で銀弾はもう没している。
最終的には北の踊子さん→ニジンスキーさんみたいな血の継ぎ方をする。
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