さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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懐かしの銀弾耳設定。
聞こえにくい、とはしているが原因は心因性の部分が多い。
ストレスが溜まるor心を閉ざすで聴覚シャットダウンするタイプ。
のちのち幸せになってやっと『え?ホントに耳聞こえにくいの?』って言われるくらいになるし、耳が悪いことを忘れられるくらいになる。
(幸せになって)よかったね…。



*耳のこと

「おはよう、バレット」

「…」

「バレット?」

 

いつものように先に起きて朝食を作っているバレットに声をかけるが返答はない。

少し思案したあと、すぐに原因が分かった。

 

「バレット」

「!」

 

包丁や皿を持っておらず、それでいて火を使っていない時を見計らってバレットの肩を叩いた。

本当に軽く叩いたのだけど、当の本人であるバレットはびくりと体を震わせて慌ててこちらを向いた。

 

「ぉ、おはよぉマス…」

「耳、聞こえてないよね?」

「…」

 

単刀直入に事実を述べると押し黙るバレット。

…実はバレットの耳はあまり聞こえていない。

小声の声量になると聞こえず、普通の声量でやっと微妙に聞こえる…という具合なのがバレットの聴覚だ。

基本的には読唇術を使って会話を成り立たせているようだけど、時々、本当に時々、バレットの耳は何も聞こえなくなる。

 

しどろもどろといった調子のバレットを引き寄せる。

そして手のひらを出させ、指で文字を書く。

 

『今日は休むって連絡しよう』

「で、でも…!」

『耳が聞こえないのに外に出るつもり?

前、それで車に轢かれそうになったの忘れてないよね?』

「…」

 

説得は成功し、僕とバレットは休みを獲得した。

 

 

僕がバレットの耳のことについて気がついたのは同居し始めてからだ。

幼い頃からの仲だったけれど、それまでまったく気づかなかった。

それほどまでにバレットは隠すのが上手かった。

耳のことだけでなく、体調不良も多々隠されたのでキレたこともあったが、

 

「頼ってくれるようになって嬉しいよ」

「?」

 

ソファーに二人で座る。

そこには僕に身を預けるように目隠しをされたバレットがいる。

…いや、目隠しっていってもそういうプレイっていう訳じゃなくて。

バレットは普段聴覚が悪いのを読唇術で補っている。

そしてバレットの目の片方は火事の後遺症によりほぼ見えない状態。

バレット本人は自覚していないがそんな生活をしているためバレットの目はいつも疲労しているのではないだろうか、と。

そんなことを考えたので目を休ませるために目隠しをさせているのだ。

 

「僕のこと、信用してくれてるもんねぇ」

 

バレットは僕を信頼している。

そうでなきゃ、五感のふたつを封じられてこんなに大人しくしていられるもんか。

独占欲というか、庇護欲が刺激されているとバレットがモソモソと動き出し、

 

「…眠いんだ」

 

ぽてん、と僕の体に身を委ねて眠りに落ちた。

どうやらさっきのモソモソはベストポジション探しだったらしい。

スヨスヨと警戒も何もなしに眠り始めたバレット。

 

「ふふっ」

 

その無防備さに思わず笑ってしまった。

 





僕:
心因性(ストレス)で聴覚の感度が変動するタイプのウマ娘。
本当にストレスが溜まると何も聞こえなくなる。
でも耳が聞こえない状態でもある程度動けるのがタチ悪い。
ちなこの聴覚について知っているのは現状マス太とトレーナーのみ。
母であるホワイトリリィには心配をかけたくないらしい。

なお史実では白峰おじさんが執筆した『さよならはまだ言えない』によって、聴覚の件が周知(バラ)されている。


マス太:
僕と秘密を共有できてニヨニヨしてる。
どこもかしこもデッ…なウマ娘。
誰でも選り取りみどり選べる良家の子女だがガリガリ火傷顔のウマ娘(僕)を溺愛している。
僕が無防備で、信頼を置いているのをいいことに激重感情を毎日醸造中。
普段はCB&皇帝とバチバチ牽制し合っている。
が、結構な頻度で一人勝ちする模様。

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