さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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銀弾系列は『領域』に入るとき全員同じカットインすればいい。
全身が黒塗りになって目の部分だけがボウッと白く光ってるやつ。
常時シングレ仕様なんだ…。

それはそれとして銀弾系列は基本長生き。
牡馬でも牝馬でも平均30歳近くまでは普通に生きる。
体が丈夫な長命の家系。
なのに脚をやらかしまくってた銀弾さんェ…()。
でも、

───長生きなのがいちばん勝ち、じゃない?



いつか未来で

麗らかな陽射しに照らされて、安楽椅子に座ったウマはゆらゆらと揺れていた。

どうやら眠っているらしい。が、

 

「…」

 

その耳にザリ…と足音が届くとゆるりとまぶたを上げた。

 

「…やぁ、キミは」

 

寝ぼけ眼で見つめる先にはひとりの歳若いウマ。

安楽椅子から、ふらつく脚で立ち上がろうとすると慌てて支えられる。

 

「ありがとう。それで…キミは僕の"何"?」

 

目の前の歳若いウマ。

そのウマは自分が既に老いていると自覚しているが、そんな老いた頭の中を漁っても自分の知り合い・親族に目の前の歳若いウマに合致する存在はなくて。

だから問うた。

(プレッシャー)は、もう出せなくなっていたけれど。

 

『僕、は…』

 

歳若いウマは年老いたウマの前で少し口ごもった。

それをゆっくりと待って数分、いや十分くらい。

 

『僕、僕は…あなたの子孫です!』

「あぁ、やっぱり」

『えぇ…』

「あらかた信じてもらえないって口ごもってたんだろう?」

『ま、まぁ、はい…』

「信じるよ。不可能だとか何だとか言われてもそれなら2:19.0のレコード(ぼく)って存在はどうなるんだって話だし」

『はぁ、』

 

話を聞くとこの歳若いウマは、タイムマシン的なものでこっちの時間軸に飛んできたと。

なんでこの時間軸に?と疑問を呈すれば年老いたウマ(じぶん)に会いたかったからと。

 

「…僕に会いたいなんて蓼食う虫も好き好きじゃないんだから」

 

呆れたように息を吐くがその顔はどこか笑みを浮かんで、

 

『それと』

「…それと?」

『僕は、サラブレッドなんです』

「へ?」

『サラ系は8代続けてサラブレッドと交配すると…』

「…あぁ、なんかそういう話もあったっけ。僕が生きてる間には達成されないモンだったから忘れてたけど」

『僕のいる時代ではサラ系なんて、もう死語ですよ』

「…混じりすぎて?」

『はい』

「そう」

 

ぼんやりと、年老いたウマは思考する。

サラ系が死語になるほど、サラ系の血が()()()()()()()()()

そのような時代に至るまで、どれほどの時が必要だったのか。

そもそも時代跳躍なんてワケわからないことができるくらいなんだから…と考えたところで、

 

『あ、』

「ん?」

『もう、時間みたいです』

 

ボヤけて、透けていく歳若いウマの姿に目を見開くもすぐに落ち着く。

そこから力を入れて立ち上がったウマは、

 

「ほら」

『はい?』

「握手くらいしよう。それぐらいなら、影響もないだろう?」

『ぇ、あ、はい、たぶん…』

 

おずおずと差し出された手を取る。

そうした年老いたウマは、

 

「餞別だ。持っていきなさい」

『は?へ?えええええええ!?』

「僕の【領域】は、飛びっきりだぜ?」

 

 

【因子継承】




老いたウマ:
基本は安楽椅子でユラユラなサラ系おじいちゃん。
だが実は現役時代に芝2400m 2:19.0のレコードを出していたり…。
やってきた歳若いウマに内心『未来ってすげぇや』していた。
で、最後に面白そうだから+老バ心で【因子継承】してあげた模様。
強くなれよ〜。

だけどこの話のあと、ちょっとしたら…。

───長生きしなよ、みんな。


歳若いウマ:
タイムマシン的なものを使い過去に来た。まだデビュー前。
会ってみたかったウマに会えて感激だが、そのウマから【因子継承】をカマされてスペース化。えぇ…?
いちおう老いたウマの子孫だが8代重ねたためサラブレッドとなっている。


未来の"サラ系":
もはや死語。
世界全体で血が広がり、混ざりすぎて逆にサラ系の血が入っていないウマの方が珍しくなっている様子。
だから遠い昔にあったような差別ももう、ね…?
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