さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ちょっとしっとりヒカルイマイさんも見たいな…って。



『世界』を、欺け。

 

『親より先に…ッ、死ぬ奴があるかァ…ッ!』

 

そう叫んだ記憶が、今も色濃く残っている。

 

「っリリィ!」

「よォ」

 

()()でも妻となったホワイトリリィの手の中には小さな小さな赤子が。

すやすやと眠るその子は今もなお記憶に残る"アイツ"と同じ髪色で、

 

「ソイツが、か…」

「あァ、そうだ。コイツが…」

 

"███████"。

赤子の名を、"彼"の名を呼ぶ声が重なる。

あぁ、嗚呼…、

 

「「…今度こそ、俺たちが守ってやるからな」」

 

 

僕の家族はみんな優しいです。

お父さんとお母さんと妹と弟。

歳が近い妹とも喧嘩したことなんてないし、幼い弟はとっても可愛い。

けれど、

 

「…チビ」

「ぁ、ひ、ヒカル…」

「外に出るなって、言ったろ」

 

家族はみんな、僕が外に出ることを許してくれません。

僕はウマですからいつも走りたくてたまらないのですが、みんなはそれを許してくれないのです。

そしていつも同じことを言います。

 

『お前は、脚が弱いから』

 

そう言って、僕を止めるのです。

その目があまりにも真剣なものですから僕はいつも、最後の最後で脚を踏み出せないままで、今までを生きてきています。

 

「兄さん、ただいま」

「あぁ、帰ってきてたんだね」

 

家の中に入るとちょうど妹であるシルバフォーチュンが帰ってきたところでした。

彼女は、今現在トレセン学園に通っています。

友だちもたくさんでき、頑張っているようで、こうして休みになるたびに家族に報告しに帰ってきてくれるのです。

 

「ねぇ、兄さん」

「どうしたんだい?」

 

父と母は、今ふにゃふにゃと泣いている弟の世話をしているのでここにいません。

僕と妹のふたりで食器を洗って片しているところです。

 

「…走って、ないよね?」

「…?あぁ、うん。走ってないよ」

「そう」

 

妹の態度が言外に「よかった」と告げていました。

その姿を見た僕はぼんやりと思考します。

 

(…なぜ、僕は)

 

父も母も、妹も、僕が外に出ることを許しません。

なので僕は学校すらろくに行ったことがなく、ずっと、父と母が言うように生きています。

今は何とか通信制に通わせてもらっていますが、

 

「チビ」

「…なぁに、ヒカル」

「…いや、ちょっと来てくれないか?」

「はい」

 

これは父の昔からの癖です。

妹のことは抱きしめないくせに(まぁ性差というのもあるのでしょうが)僕のことはよく抱きしめるのです。

 

「チビ…」

「ヒカル…?」

「ずっと傍にいるよな?」

「…はい」

「そうだよなぁ、俺とリリィの息子なんだからなぁ」

「……、」

「父ちゃんがお前のこと、ずーっとずーっと…守ってやるからな…」

 

父が僕にそう言います。

その言葉に僕は、

 

「……うん、ありがとう」

 

そう答えるしか、なくて…。

 





僕の家族:
史実の記憶有り。
僕を守るために何がなんでもする所存。
ちな学園生のシルバフォーチュンは皇帝やらCBやらに"とある存在"についてよく詰問されているが知らぬ存ぜぬで通している。

学園組:
いるはずだけどいない存在を探している。
その中でもいちばん勢力が強いのは銀の名称を冠する生徒たちである…らしい。

僕:
そもそも戸籍すら提出されてない存在。
そこにいるけどいない。
家族(父母)からは便宜上『チビ』と呼ばれている。弟妹からは『兄さん』『兄ちゃん』呼び。
家庭内学習で同年代と同じかそれ以上の学力を保てる程度には頭がいい。
家族が大好きで家族のいうことはなんでも信じている。
実質ラプンツェル状態。
生まれてこの方外出したことがないので非常にフィジカルが弱い。
仕方なく外に出なくちゃならなくなった時は父であるヒカルイマイに背負われている模様。
どうやらハルウララの熱心なファンらしい。


ハルウララ:
『ぼく』さんのこと?
『ぼく』さんはね、ウララがデビューしたときから熱心にお手紙送ってきてくれる人なの!
とってもあたたかいお手紙を書いてくれる人でね、『あなたの走りを見ると自分も走っているような心地になって楽しい』っていつも言ってくれるんだ!
それで今度有記念に出るって書いて送ったらね、応援してるって書いてくれたんだ!
だからウララ頑張らなくちゃいけないの!
えいえい、おー!
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