突如生えるダークホースェ…。
『なぁ、迷ってるんなら俺らのチームに来ないか?』
『え…?』
そう僕を誘ってくれたのはリーダーだった。
名を"ゴーアヘッドユー"。
『重賞に出走できたら御の字の弱小チームだけど…』と申し訳なさそうに言われたが、その時の僕にとって、その申し出は喉から手が出るほどの救いの手であった。
『チーム:アルデバラン、歓迎するぜ?』
*
チーム:アルデバランに入って、僕には仲のいいウマがたくさんできた。
そのすべてが先輩だったりするのはたまにキズだったけど。
『バレットちゃん、一緒に併走しましょ!』
『いいや、俺とだね!』
『フンフン!』
『え、ええと…』
特に仲のいい三人-上からウィッシュラック先輩、ゲットオーヴァー先輩、ハングインゼアー先輩各々に併走を求められて困っていると、その日も出された助け舟。
『バレットが困ってるだろ』
『あ、リーダー』
『そもそも併走の相手は元から決まってるんだし。ほら行った行った』
『リーダーだけズルいわよ!ずーっとバレットちゃんと併走して!!』
『厳正で公平なトレーナーの判断だから俺には決定権ありませーん。はやく行かないと相手、待たせてんぞ』
『…もー!!』
ブーブー言いながら走っていく三人を見送ったあと、『じゃ、行こうか』と促される。
その大人っぽい姿に心臓が高鳴れば、
『ん、どうした?熱でもあるか?』
『ヒョエッ』
デコとデコを合わせる形になり、飛んで退く。
『だ、大丈夫です!体調管理はちゃんとしてます!!』
『そうかそうか。ハハハ』
『…む。からかわないでください!』
『あぁ、ゴメンって。お前が可愛くてつい、な?』
『…もう!』
『あでっ!』
ポコッ!とリーダーの胸あたりを叩くと苦笑された。
身長差があるからって子ども扱いして…!
『リーダー!』
『ん?』
『ぼ、僕だっていっぱしのウマなんですからね!?子ども扱いしないでください!!』
『…あぁ』
『…ッ?』
苦言のつもりだった。
だがその言葉を発した瞬間、リーダーの雰囲気が切り替わったのに堪らず息を飲む。
『分かってる。分かってるよ、バレット…』
『り、リー、ダー…?』
『ただ…俺は、』
お前が可愛いだけなんだ。
『だから、許して?』
*
『ホントに、リーダーってバレットのこと好きだよね』
『私たちだってそうですけど!?』
『それ以上にッてコトだろ』
廊下を歩く三人のウマがそうボヤく。
短髪の元気そうなゲットオーヴァー。
よく手入れされた、美しい髪のウィッシュラック。
マスクをした、目つきの鋭いハングインゼアー。
練習場へ行く道すがらの三人。
その話の議題は、チームのリーダーである"ゴーアヘッドユー"とチームの新人である、とあるウマについてだ。
『バレット、素直でかしこくて…もっと関わりたいんだけどなぁ』
『リーダーの牽制が凄まじいです…』
『いや、まさかあのリーダーがねぇ…』
チーム:アルデバランのリーダー・"ゴーアヘッドユー"。
その名前は、このトレセン学園において非常に有名で。
何故なら"ゴーアヘッドユー"が、荒くれ者・問題児ばかりが集うチーム:アルデバランを長年統治する…生粋の気性難だからだ。
暴力事件を起こした故の出席停止なんて数しれず…。
そんな、道行けば恐れられ、避けられるウマが笑えるくらい
『面白い以外の、何者でもないだろ』
・
・
・
なんて。
そのような過去も、もう遠く。
「なんで、…おいて、いかないで」
深夜に飛び起きた子どもが、そう言って泣きじゃくる。
伸ばした手は、届かないままに。
命を以て助け出された人生を生きるしか、許されないように。
「やだ、やだよ…りーだー…!」
泣きじゃくる。
引き攣った声で。
相変わらず、ヘッタクソな泣き方で。
だが、その【存在】にとっては、その泣き方こそ愛おしくて。
【ああ、嗚呼…可愛そうなバレット!】
笑う【存在】を、
けど、それでよかった。
【俺のコトを忘れるな】
【そして】
───俺にずっと、囚 わ れ ろ。
そう、低く、暗くささやいて。
【存在】-"ゴーアヘッドユー"は、
【…ホントにかわいいなぁ、お前は】
泣きじゃくる
【リーダー】:
ゴーアヘッドユー。史実での灰方厩舎前代のボス馬。
父:エリモジョージの牡馬。
実は灰方厩舎入りした後の僕の世話を全面的に見ていた。
併走も、食事も、コミュニケーションも…何もかも。
そもそもがバリバリに気性の荒い馬であったため、僕と出会ったのちより積極的に僕の世話を見始め、僕の前では良い先輩をしていたのをヒトミミさんたちに驚かれていたらしい。
が、ひとたび僕と引き離すor僕が自分以外の馬と仲良くしているのを見るとキレていた。マジギレ。
何がそんなに彼の琴線に触れたのかは不明だが、彼が僕のことを好意的に見ていたのは確か。
…なお、僕を見てだっち!していたことが多々あったという。
ウマ時では優しく頼りがいのあるリーダー(だと僕は思っている)。
がしかし、僕が他ウマと話しているのを見るとフラッとやって来ては上手い具合に引き剥がしている。
…僕が傍にいないと表情とか目が死んでそう。
ウィッシュラック:
史実での灰方厩舎所属馬。父グリーングラスの牝馬。
白峰おじさんに恋をしていた…?と言われている。し、白峰おじさん、灰方さん、専属厩務員さん以外にはバカ塩対応だった。
ウマ時では基本丁寧口調。身だしなみによく気を使う性格で散髪が得意。アピールポイントは美しい髪とのこと。
ゲットオーヴァー:
史実での灰方厩舎所属馬。父テスコボーイの牡馬。
とても元気。逆に元気すぎてヤバかった。人懐っこい性格。
ウマ時でも基本元気印。運動神経はいいが、絆創膏が体に貼られていない日はないくらいちょこちょこ擦り傷を作っている。毎日が元気っ子なウッマ。
ハングインゼアー:
史実での灰方厩舎所属馬。父カブラヤオーの牡馬。
噛みグセ有り。気に食わなければ即噛むウッマだった。
ウマ時では常時マスク着用で、目つきが鋭い。
僕の前限定で基本『フンフン』言うてるだけで話そうと思えばちゃんと話せる。
僕のことを小動物みたく思っており、機会があれば可愛がりたいな〜と思っている様子。
僕:
シルバーバレット。
【リーダー】のことをとても慕っていた。
基本灰方厩舎のお馬さんたちのことを慕っていたがその中でも【リーダー】をトップクラスに慕っていた。
ちな傍から見ると【リーダー】と夫婦のように見えていたりしたかも…?
でもまぁ、最終的に【リーダー】等様々な
語られることはないが、僕の心の内に刻み込まれた【誰か】がいることを理解している。
自分を見てもらいたいと思っているが、
頑張ろうね!