さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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銀弾♀√で"先輩"との話。
たぶん銀弾♀のそういった部分はリリィゆずりだと思われる。

【追記】
誤字修正しました。
ありがとうございます。


"魔性の女"

「先輩、お久しぶりです」

 

その日、俺の前にそう言って現れたのはかつての後輩であり、今となっては押しも押されぬ大名バとなったシルバーバレットであった。

最近、何とかなってきた暮らしの中で唐突に現れた彼女に俺は目を瞬かせ、そんな俺に彼女はニコリと笑う。

 

「…お前、どうして俺のところに」

 

彼女が俺の元へ来た理由は遠に分かりきっていた。

だが困惑してしまう。

なぜ、俺のところに、と。

 

「なんと言えばいいですか?」

「…」

 

困ったような顔をされる。

…その顔には、あのころから弱いのだが。

 

「まぁ、上がれよ。粗茶ぐらいなら淹れてやる」

「ありがとうございます」

 

俺-ヒカリデユールと彼女-シルバーバレットは一時期在学期間が被っていた。

今となっては彼女の活躍によりマシになったが、あのころは"サラ系"と言うだけで…。

 

「ヒカリさん?」

「っ、あぁ」

「そのままじゃあ零れますよ」

「…あぁ、悪い」

 

溢れそうになった湯呑みは自分の方に引き寄せて、綺麗につげた方を彼女に渡す。

「ボロアパートですまないな」と謝りながらも「むかし住んでた家の方がひどいので気にしませんよ」なんて。

 

「ヒカリさん?」

「…その呼び方さぁ、」

「だってもう学生じゃないなって思いまして」

 

可愛がっていた少女に、まるで……のように言われて背がムズムズする。

あのころ、チームに入るまで孤独だった彼女を世話して、守っていたのは同胞である俺であった。

何度も何度も、門を叩いては突き返される日々を繰り返し落ち込んでいた彼女を支えていたのは、俺だった。

 

「まぁ、なんだ」

「はい?」

「…楽しかったか?」

「……はい!」

 

花がほころぶように笑えるようになった彼女にホッと息をつく。と同時にチリ…、と胸が痛む。

彼女が幸せになれて嬉しい、と思うのと同時にあのころの彼女の薄暗い、諦めきった笑みが脳内に浮かぶ。

……あのころのお前なら、俺だけを、

 

「…」

「ヒカリさん?」

 

ハッ、と自嘲する。

そんなこと考えてももう過ぎたことじゃないか。

もうお前は光の方へ見出されて、暗い()()から足抜けしていった。

俺とは、何もかもが、違うだろうに。

 

「お前は、俺をどうしたい」

 

ぐじゃぐじゃの思考で目の前の女に問いかける。

そう問われた女はニコリと笑うと言い放つ。

 

「ターフに、戻ってきて欲しいです。───父として」

 

……残酷だなぁ、と思った。

今まで結果なんて出なかったのに。

お前は、それを俺に望むのか、と。

けれど、

 

「…とんだ魔性の女だな」

 

その手を取ってしまったのも、また事実で…。





ヒカリデユール:
私が相手した中で唯一の歳上。また私と同じく"サラ系"である。
この作中世界ではシルバーバレット(牡牝問わず)の活躍があったため救われている。
実はどの世界であってもチーム:アルデバランに入るまでのシルバーバレットを世話していた先輩ポジだったウッマ。
後輩であり同類にあたるシルバーバレットのことを可愛がりつつもちょっと鬱屈した感情を持っている。

ちゃんとこの方もこの方でシルバーバレットに情緒をグチャグチャにされているので、『信頼されている先輩』の立場をアドバンテージに激重感情レースに参加している。
CB&皇帝が争っているところを漁夫の利していきそう。

シルバーバレット︎︎♀軸では彼女との間にヴィンチェロー(1995年産牝)を成す。黄金世代だぁ…。
なおヴィンチェローの主な勝ち鞍は有馬記念(1998)、香港カップ(1999)の模様。
名の元になったのは歌劇『トゥーランドット』のアリア「誰も寝てはならぬ」の歌詞よりVincerò。
言葉の意味は『私は勝つ』。
そして Vincerò(その名)を体現していく競走馬となる。


私:
先輩であるヒカリデユールのことを慕っている。し、"サラ系(同類)"のよしみとして血を残しに来た。
たぶん言ってないけどジュニアクラス時代にヒカリデユールの走りに勇気づけられている。
それはそれとしてCB&皇帝が喧嘩()している時は大体ヒカリデユールの元へ避難している。
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