さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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──ねぇ、『七不思議』って知ってる?



◆七不思議は、今日もしれない

基本的に何かを仕出かす時、彼女たちを先導するのはミスターシービーだった。

だからその日もミスターシービーが発端でトレセン学園の七不思議を試してみようという話になったのだ。

 

トレセン学園の七不思議はありふれた、よくある内容だ。

 

1.特別棟の西階段は夕方になると13階段になる。

2.朝方にプールで泳いでいると足を引っ張られる。

3.美術室には呪われた絵がある。

4.保健室のベッドには幽霊が休んでいる。

5.夜にグラウンドに行くと首のないウマ娘が走っている。

6.3階のトイレの4番目の個室からすすり泣く声が聞こえることがある。

 

「…あれ?7番目は?」

 

そう、不思議そうに問うミスターシービーの言葉に返答を返すものはいない。

誰も七不思議の7番目を知らないからだ。

「聞いたことがない」と口々に話す友人たちに、「知らないなら仕方ないか」と諦めるミスターシービーだったが、

 

「じゃあ、行けるところだけ行こうか!」

 

彼女は一度コレと決めたら頑固なところがあった。

 

 

七不思議の2番目と5番目は除外になった。

2番目の「朝方にプールで泳いでいると足を引っ張られる」という話は友人のうちの一人が「一度朝からプールで泳いでいた時期があったがそんなこと一度もなかった」という話でナシになり、5番目の「夜にグラウンドに行くと首のないウマ娘が走っている」という話は時間的に試すのは無理だろうということになったのだ。

 

七不思議1番目。

 

「階段、いつも通りだねぇ…」

 

七不思議3番目。

 

「呪いの絵ってそもそもどこにあるんだ?」

「さぁ?知らない」

 

七不思議4番目。

 

「誰もいないね」

 

七不思議6番目。

 

「ここも誰もいない」

 

結局、七不思議を試してみても何も起こらなかった。

「なぁんだ」と誰もがため息を吐き、静寂な空気に包まれていたその時、電話のコール音が鳴る。

 

「あれ?珍しいねシルバーが電話かけてくるなんて」

 

音の出処はミスターシービーの携帯で、電話の相手はクラスメイトのシルバーバレットらしい。

 

「何してるって…、ナニモシテナイヨ?

シルバーが心配することはナインジャナイカナ〜!」

 

ダラダラと汗をかきながら裏返った声で返答するミスターシービーに「いやそれで何もないは無理があるだろ」と思うそれ以外。

「分かった、帰るよ」との言葉を最後に電話は切れた。

 

「…帰ろっか」

 

そんなミスターシービーの姿を見て、七不思議試しに付き合った彼女たちは「またこんなことがあったらシルバーバレットに言えばいいのだな」とひとつ学習するのだった。

 

 

「やぁ」

 

誰もいない階段の踊り場の大きな、でも少しだけ欠けた姿見の前でシルバーバレットがたたずむ。

 

「いい子で、何よりだ」

 

そう言ってシルバーバレットが触れた姿見には誰も映っていない。

いるはずのシルバーバレットの姿が。

 

「…また、僕にしたみたいに鏡の中に引きずり込もうとしたら」

 

 

今度は割るじゃすまないからな?

 

 

シルバーバレットが凄んだ瞬間、ぶるりと鏡面が震えたような…。

 

「あ、他の奴らにも言い含めといてね。

え、できない?

なにふざけたこと言ってるの?

キミは七不思議の7番目 『成り代わる鏡』だろ?

七不思議のボス張ってんだからさぁ、頑張れよ。な?」

 

ニッコリと笑うシルバーバレット。

瞬きを数回すると鏡は普通の鏡に戻っていた。





僕:
シルバーバレット(ウマ娘のすがた)。
『ナニカ』が分かるらしい。
とりあえずトレセン学園の『ナニカ』を舎弟に置いている。
もしかするとその『ナニカ』のいずれかと友情を築いていたりする…かもしれない。

姿見さん:
本名称『成り代わる鏡』。
僕に成り代わろうとしたことが一度あるがその時にバチボコにしばかれ鏡面の一部にヒビを入れられた。
そのため僕を恐れている。
ちな、また誰かを引きずり込もうとしたら全割りとのこと。

でも、僕に成り代われたとしてもCB&皇帝や同期たちが『あれ…?なんかいつもと違うな?』と勘づいてくると思うんだよな…。
僕を狙ったのが運の尽きというか…。
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