子どものように、無邪気な顔で。
史実での騎手/調教師をトレーナー/チーフトレーナーと考えている人間です。
んでチームは厩舎として考えている。
(例:過去のチームアルデバラン→チーフトレーナー:灰方、所属トレーナー:白峰…みたいな)
その血筋に連なるウマの、誰もが言う。
───自分よりも、あの方の方が"バケモノ"ですよ。
自分なんて、とてもとても。
そう言って、謙遜する。
朗らかに笑う者、苦虫を噛み潰したような顔をする者…、それはウマによってさまざまだが、たしかに。
───あの方の方が、ずっとすごい。
尊敬の眼差しをもって、そのウマのことを、称するのだ。
*
「え?そうなんですか?」
その話を当の本バにすると、驚いたようにそう返された。
大きな邸宅の、庭に面した部屋での会話である。
ゆるく着流しを纏ったウマは、言われなければその年齢と思えないほど若々しい。
「へぇ〜…。僕なんかずっと前のウマですのに、みんな…そっかぁ」
茶をずずず…と啜ったウマがしみじみと呟き、置いてあったお茶菓子をつまむ。
「キミも食べなよ。というかキミのために用意したんだから」
そう促されたのでこちらも口をつける。
…美味しいですね。
「あ、そうだろ?先生とふたりで選びに行ったかいあったよ。爺さんふたりでえっちらおっちら珍道中…」
「と、今この話はいいか」
こほん、と閑話休題的咳の音がして、
「僕が"バケモノ"って…なんか酷いなぁ、みんな」
「でも誉め言葉での"バケモノ"だもんね」
ポリポリと頬を掻くそのウマは、少し照れくさそうだ。
もう、仔も孫も、数え切れないほどたくさんいるというのに、その誰もが「このウマを超えられない」と言う。
「それにしても、今はいい時代だよね」
いい時代?
「僕の時はまだ海外遠征に対してのノウハウがなかったからねぇ。それに出るレースも、ね」
…もし、
「ん?」
もし、海外遠征で好きなレースに出られたとしたら、…どのレースに出ますか?
「ふぅん」
「なかなか、答えにくい質問を…」
「有名所だったら香港とかドバイかな?」
「香港が現役のとき、出走可能だったらたぶん出てたし」
「あとは…子どもが何度か獲ってるゴールドカップとか?」
そして出て、自分か勝てると思います?
「…」
「何を当然なことを?」
顔をあげたそのウマに、じぃと見つめられて息がつまる。
はく、と自分が呼吸するのに合わせてフッ、とほころぶ口元。
「…
「今の子は知らないかもしれないけど」
「出られるんなら」
───何が相手でも喰らうのみ、だ。
「あ゛〜、そう言われたら出走したくなってきたなぁ」
「ずっと、気が付かないフリをしてたのに」
…やっぱり僕は。
「走ることを、"愛している"らしい」
くつくつと笑う姿に、やっと心臓が落ち着いて。
その笑顔に、自分は問う。
もし生まれ変わったのなら…?
「生まれ変わったら?そりゃあ、もちろん」
───相棒と、世界を
「そうに、決まってるだろ?」
───生まれ変わっても、ふたりで。
【あの方】:
もう年老いて久しい。
けど、闘争心はちゃんとある。
子や孫ができるにつれてレースの選択肢が増えていることを羨ましく思っていた。
……みんな、色んなところに行けていいなぁ。
それはそれとして年老いても(競走に対しての)プライドがお高い。
表面上は穏やかに接しているが一度
(そりゃあ)そうだよね、『運命の相棒』が
応えないと、恥ずかしいよね(ニッコリ)。
でもいろいろと(産駒成績とか諸々)手加減しろ
ジジイ!
【あの方】の相棒:
【あの方】とは今も仲良しな元トレーナー現チームアルデバラン・チーフトレーナー。
【あの方】に脳を焼かれた結果、【あの方】が最強なんだ!と言い続けるようになったヒトミミ。
【あの方】と共にあったころに今の技術があったらなぁ…とよく考えてしまう。し、あの時代にこのレースがあったら…ともよく考える。
さすが【あの方】に運命も情緒もぐちゃぐちゃに
されたヒトミミだ、面構えが違う。