さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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顔合わせたら「僕の方がバレットと仲良いもん!」するトレーナーとウマェ…。



*料理と水面下

「ねぇ、マス太。手伝って欲しいことがあるんだけど…」

「なに?」

 

ある日の休日。

バレットからの唐突なお願いに嬉々として付き添えば、

 

「ありがとう、マス太」

「うん、まぁ…」

 

辿りついたのはたくさんの主婦の方々でごった返しているスーパー。

そこに突っ込むバレット。

完全に揉みくちゃにされて流されていく姿に「うわーッ!?!?」と叫んではタイムセールの品をちゃっかり確保しておいて。

…なんかレースよりも疲れた気がする、と思いながら次に訪れたのは、

ピンポーン。

 

「せんせー、いますかー!」

『いるよ〜。鍵開いてるから入ってね』

「は〜い」

 

住宅街の中にある、とある一軒家。

勝手知ったるように入っていくバレットの後ろに着いて行った先。

いたのは、

 

「今日も悪いね」

「いえいえ」

 

バレットのトレーナーである人。

完全に部屋着といった風貌のその人には、ぴょこぴょこと寝癖が。

 

「今からいつもみたいに料理作るんだけど…マス太は座って待っててね」

「えっ!?」

「えっ?」

 

大量のレジ袋を抱えて、そのまま手伝うのかと思えばまさかの断り文句。

僕は手伝うつもりなのだけど?と詰めれば、

 

「だ、だって…マス太たくさんの料理作るの、慣れてないでしょ?」

「うっ、」

「先生たくさん食べるよ…?マス太の几帳面さはすごいな〜っていつも思ってるけど、今からやるのは時短でドン!みたいな料理だから…」

「うぅ…」

「ごめん、ね?」

 

申し訳なさそうに謝るバレットに渋々…。

僕だってバレットを困らせるのは本意ではないし。

 

「お、美味しい料理作るから、待っててね!」

「うん…」

 

…バレットの料理、食べてみたいもん。

 

 

それから。

リビングでバレットのトレーナーとふたりして待つ。

 

「「…」」

 

テレビも何も、つけられていない。

ただふたりしてバレットが来るまで無言で待つだけだ。

…正直、気まずい。

でもひとたび話せばバレットの(自慢)話になることは確定だし…。

 

「できたよ〜ふたりとも〜」

 

かれこれ30分、待っているとどこの大食い店だという量を盛った皿を両手に持ったバレットが来て「遅くなってごめんね」なんて。

 

「「いや、大丈夫だよ」」

「待たせちゃ駄目だなって、ザッと作った炒飯なんだけど」

「「いただきます」」

 

僕らが食べる量よりもずっとずっと少なく盛った炒飯をもむもむ食べていくバレットに人知れず頬がゆるむ。

ふふ…、可愛い。ハムスターみたいだ…と思っていれば、

 

((ハッ))

「…?ふたりとも?」

 

同じことを考えていたらしいバレットのトレーナー(相手)と目が合い、また気まずくなる。

けど、バレットのひと声があったので食事再開となり、

 

「「ご馳走様でした」」

「は〜い」





僕:
シルバーバレット。
多人数分の量のご飯をザッと作るのが得意。
経験則で味付けするタイプ。
人に料理を「美味しい」と言ってもらえるのが嬉しい。
だが、自分ひとりだけだと食事がおざなりになりがちなのでマス太に世話を見られている模様。


マス太:
シルバマスタピース。
少人数分の量のご飯を丁寧に作るのが得意。
ちゃんと計量して味付けするタイプ。
僕に料理を「美味しい」と言ってもらえるのが嬉しい。
なお僕の世話を見るにおいて栄養学などを修めている様子。


僕のトレーナー:
トレーナーとしては天才的だが人として駄目。
時間がある時に僕に世話をしにきてもらわないと部屋が汚くなるタイプのヒトミミ。
テレビ・電話・風呂以外の家電がてんで使えない。

好きな食べ物は僕の料理。
ちな僕と出会う以前は、食事=腹に入ればいいという考え方で味は二の次だった。
が、僕と出会い、僕の食事を食べてはじめて「ご飯って美味しいんだ…」と目覚めたらしい。
胃袋掴まれてるゥ…。
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