思えば思うほど【白の一族】って顔に傷跡とか失明とかそういうの多そうやなって(生産牧場並感)。
一族勢揃いしたら絶対カタギじゃないだろお前らって言われる(確信)。
その子どもは、その一族の最後の子となった。
『リリィ』
名を、
一族随一の、初代の先祖返りとも謳われた
彼女の母であったウマは産後の肥立ちが悪く、夭折し。
ひとりきりとなった彼女は父であるホワイトバックに溺愛されて育った。
『リリィは、良い子だなァ』
顔に刻まれた深々しい傷跡が見せる異様と、その気性の荒さからホワイトバックというウマに、好き好んで近づくものはいない。
娘であるホワイトリリィを除いては、だが。
『あの子に、本当によく似てる』
日がな、口籠と拘束衣を着せられた父は、よくそう言ってホワイトリリィに擦り寄り、微笑んだ。
拘束衣で触れられないなりに、愛してやろうとでも言うかのように。
『あの子は、優しい子だった』
『こんなぼくにも、優しくしてくれた』
『…でも優しすぎたんだ』
聞けば、父はホワイトリリィの母-ホワイトキティにたいそう惚れ込んでいたのだという。
『
『ぼくにはもったいないくらい、綺麗なウマだった』
『触れたら壊しちゃいそうで、汚しちゃいそうで、…怖かった』
母の話をする時の父の目からは、いつだっていつもの狂気が消え失せていた。
浮かぶのは、ただただ穏やかな情愛だけ。
『ぼくには、あの子だけ…』
しかしその刹那、薄暗い狂気が浮かぶのも…。
*
いい意味で趣がある、ありたいていに言うと歴史だけを重ねたボロ屋。
メンテナンスも遠にされなくなった日本家屋を男は歩いていた。
『…はい』
とんとん、と軽く手の甲で叩くと中から聞こえるか細い声。
入っていいか、と問えばまた『はい』と。
慎重に、行儀が悪いと理解しながらも襖を足で開けて。
その中にいる少女-ホワイトキティと顔を合わせる。
『た、体調は…だ、大丈夫かい?』
『…はい』
男の言葉に微笑みを見せる少女。
だがその言葉が嘘だと、男には理解できていた。
ホワイトキティ。
この一族に珍しく、穏やかで優しい気性を持って生まれた娘。
けれど体が弱すぎた。
だから、
『……そんな目で見られても、私はこの子を産みますからね?』
口を開こうとした瞬間、その眼を見た。
いつもの穏やかさが嘘かのような苛烈な光を宿した瞳。
"母"になった、瞳。
そうなった眼には、さしもの
『うん。分かってる、よ』
けど、けれど、
「ぼくは──キミと一緒に過ごす未来が…」
【白百合】:
ホワイトリリィ。未出走馬。
後にG1馬を二頭産む名牝。
父ホワイトバック、母ホワイトキティ。黒鹿毛。
それなりに気性が荒いが父よりはマシと称されつつ、父であるホワイトバックに溺愛されて育った。
母のホワイトキティに面立ちがよく似ている。
基本は女傑タイプであるが、懐に入れた相手に対してはとても愛情深い性格。
【白き
ホワイトバック。未出走馬。芦毛。顔に傷有り。
しかしその顔立ちは【白の一族】
だが気性が非常に悪くあられる()。
そのため拘束衣やら口籠やら目隠しをいつもされていた。
また【白百合】の母であったホワイトキティに非常にベタ惚れしていたようであり、彼女が夭折したあとは彼女のいた馬房に近づく者をコロしにかかることが多々あった模様。
基本【白の一族】連中を大切にしていた馬だがホワイトキティに対してはそれに輪をかけて大切にしていた。
【白い子猫】:
ホワイトキティ。未出走馬。黒鹿毛。
気性はとても穏やかで優しい。
競走馬になるはずであったが非常に病弱だったことが祟り、計画が頓挫した。
生涯のすべてを牧場で過ごした牝馬であり、初仔であったホワイトリリィを産み落としたあと産後の肥立ちが悪かったがゆえに、そう時間が経たないうちに夭折した。
実はホワイトバックの姿を見ると目で追う癖があった様子。
たぶん【白の一族】の中で一、二を争うくらいに丁重に扱われてたりしてそう(馬、人どっちが相手でも)。