さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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銀弾とSSの仲が良いように、こっちも仲が良い()。
現に史実からこの仲だったりするんだ。



【金色旅程】と

「よォ、」

 

そう、親しげに声をかけてきたウマをシルバーチャンプは睨みつけた。

 

「おいおい、俺とお前の仲だろう?」

 

肩を組んでくるのに振り払おうとして、踏みとどまる。

…育ちがいいもんでね。

 

「なんだ。同期に構ってもらえないから後輩に構いに来たのか?」

「それはお前の方だろ?」

「ッ、」

「図星か」

 

シルバーチャンプは目の前の-キンイロリョテイだか何だかは知らないが、な先輩を嫌っている。

嫌っていると言ったら、嫌っている。

いつも不機嫌そうな顔をしているクセに、自分に関わりに来るときだけは楽しげにしている先輩を。

脚が弱いことを、それ故に尊敬している存在に届かないことを悲観している、そんな自分に臆せず話しかけにくる先輩を。

 

「俺は、…アンタのことが嫌いだよ」

「そうか?俺はお前のことが好きだぜ?」

 

笑う。嗤う。

自分勝手、好き勝手に生きる存在が。

囚われたまま動けないシルバーチャンプを見て、わらう。

 

───ああ、本当に大ッ嫌いだ!

 

この人はどこまでも自由で、どこまでも奔放で。

そしてどこまでも傲慢なのだ。

そのくせして、己の虚勢なんて眼中にないと言わんばかりにこちらを見透かすような目つきをするのだ。

それがどうにも気に食わない。

 

「たまには、本音で話そうぜ?」

「…これが俺の本音だよ」

 

嗚呼、でも。

でもさぁ、

 

「アンタの走りだけは…」

 

言葉を、飲み込む。

 

 

ソイツを認識したのはトレーニングをサボっていたある日のことだった。

トレーニングに勤しむヤツらのことを、まるで射殺さんとばかりに見やる目に、惹かれて。

 

「なァ」

「…」

「お前、名前は?」

 

まだ、夢を見ていても許される新入生の癖に、酸いも甘いも知りきった荒んだ目をしたソイツは"シルバーチャンプ"と名乗り。

そのまま黙って立ち去ろうとしたのを引き止めた。

それから何度も声をかけたり、ちょっかいを仕掛けたり。

時には無視されたり、時には喧嘩になったりしながら、少しずつ距離を詰めていった。

そしてついに、コイツなら大丈夫だろうと思えるくらいの信頼関係を築くことができたころ。

俺ははじめて、シルバーチャンプの弱さを見たのだ。

 

「なんで、どうして、俺は、ぁああぁぁああぁあぁあああぁああぁああぁあぁあぁああぁぁああぁあぁあッッ!!!!

あ、あぁ、ぁああぁぁあ、あぁあぁぁぁ…………!

 

ガリガリと頭を力いっぱい掻き毟る姿がひどく憐れで。

ボタボタと滂沱のごとく涙を流す様があまりにも痛々しくて。

思わず抱きしめた体が嘘のように細くて、頼りなくて。

 

───このまま消えてしまいそうだと思った。

 

だから、離さないように強く抱き締めて。

するとシルバーチャンプがしがみついてきて、わんわんと泣き出したものだから驚いた。

いつも嫌いだ嫌いだと詰ってくるクセ、振り払われなかったことに。

 

「…どうして、俺は、アンタに、」

 

ぼそりと落ちた言葉。

低くうねっては鼓膜にこびりつくようにもたらされた、音。

それをゆっくりと咀嚼しながら落ち着かせていく。

 

「大丈夫大丈夫。俺はお前が好きだよ」

 

たとえ、何者にもなれなくとも。

俺だけは、お前を。

なんて。

言い放ちかけた言葉を、ぐしゃりと噛みちぎった。





【銀色の王者】:
シルバーチャンプ。逃れられないまま、囚われている。
【金色旅程】とは仲が悪い()。けど【金色旅程】の走りは好き。
基本的に【金色旅程】とニコイチなので「片方を探している時はもう片方を探せ」と言われている模様。
実は【金色旅程】にだけ弱さを見せることができる。
カッコつけだからね、トレーナーやみんなの前では飲み込んでいるんだ。

…おっと?そんなふたりを眺めている影がありますねぇ?(すっとぼけ)


【金色旅程】:
他人を遠ざけがちなシルバーチャンプを可愛がっている先輩。
いつもからかったり何だりしているが支える時は支えてくれる。
もっと力を抜いて、気楽に生きればいいのに。
なおシルバーチャンプが自分にだけ弱さを見せることに…?

ちな卒業後もシルバーチャンプと家族ぐるみの付き合いをしている。
し、ギリィ…!するその他のウマたちに勝ち誇ってすらいそう。いる(小並感)。
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