さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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いちばん強いって、いちばん孤独?



"魔性"はわらう

シルバーバレットという存在は、"魔性"である。

前人未到の芝2400mワールドレコードホルダー。

日本バ初の凱旋門賞&ブリーダーズカップ制覇バ…etc.。

そんな肩書きもシルバーバレットという存在を言い表すには不足だ。

でも、もし一言で表せというのなら───まさしく"魔性"としか言いようがないのだ。

 

 

無貌と、影がないとすら謳われた存在の目は誰も映さず。

映さないまま、生涯無敗の戦績を打ち立てて去っていった。

その目に自分が映らないことに歯噛みした者は数知れず。

だがしかし……それはある意味で、至極当然のことだった。

何故ならシルバーバレットは『走る』という行為を渇望しすぎていたから。

ただただ走ることだけを求めすぎたあまり、他者を不要と判断した。

その目は、その心は、レースの世界に入った時既に他のすべてを拒絶していたのだ。

そして──その渇望ゆえに、シルバーバレットは走り続けてしまった。

走れば必ず、いつかは終わり(ゴール)が来ることを知っていたはずなのに。

結局はそれがシルバーバレットの競技者としての最期であり、走馬灯であった。

己が求めるモノが何かを知る前に、すべてを失ってしまった…哀れな"魔性"だけが、残ったのだ。

 

 

が、残った"魔性"はどうしようもなく周りを惹き付けた。

もはや、()()()()といっても過言ではない。

強者が発する圧倒的なオーラとも、また当てられただけで慄く…と言える威圧感でもない。

見る者すべてを虜にする……そんな得体の知れない魅力。

ターフを去って、両手の指を超えた年月となってもそれは半減すらせず。

逆に今度は自らの子どもたちを狂わせるに至らしめて。

 

───僕を。私を。

─────見て。ねぇ、お願いだから。

──────どうして? どうしてあの子を見ているの? ねぇ? どうして? なんで? どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして……???

 

だがシルバーバレットは自身の特性にとんと気が付かない。

自分がどれだけ周囲に影響を与えてしまっているのかを、知らないままなのだ。

知らないままに、今日も"魔性"を振り撒いている。……振り撒いて、いる。

 

「わ〜、今日もみんな強〜い」

「え?みんなのことどう思ってるかって?」

「いや〜、みんな僕とは比べものにならないくらいすごい子たちですよ!」

「僕のことはいいんです! 僕は、ほらもう引退した身ですし……。

でも、走るあの子たちは誰よりもキラキラしてますから!!」

「あははっ。そんな顔しないでください!本当にそう思っているんですよ!」

「だから僕なんていう過去の()()よりあの子たちのことを、応援してあげてください。ねっ?」





僕:
シルバーバレット。
ぜんぶお前のせい兼お前が始めた物語だろ定期と化している。
本バとしては楽しく生きているつもりなのだが呼吸して存在するだけで周りを狂わせてしまうモノと成り果てているので…。
一体どこの神話生物なんだ????
たぶん競技者だったころの方がマシ。
『走る』という根幹を失った結果、遺った"魔性"が表出した。

ちな何度でも言うが本バとしては"普通のウマ"のつもりである。し、もう既に引退した身である自分を「過去の遺物」と評しているんだ。


周り:
基本みんなぐちゃぐちゃ。
とりあえず、まず系列(息子娘甥姪)が情緒狂わされて、そこから波状攻撃する。
周りの湿度とか低気圧ヤバそう(小並感)。
…でも台風の目の中心って、特段影響がないんだとか。知ってた?

【遺物】の僕は、キミにとっての何だった?
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