さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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だからお前はポンだしクソボケなんだ!
…でも気づいてない方が幸せ、かも?



ある一族の末子の話

特段隠しているつもりはないが、シルバーバレットという存在は古くからある、とある旧家最後の嫡男であった。

シンボリやメジロが興る前よりずっと前からある、とは言っても多大な影響を世間に及ぼしたワケでもなく、ただ()()()というのが正しいのだろうが。

人呼んで『白の一族』。

または『狂血の一族』。

在るだけでどうしようもなく他人を惹き付け、狂わせる──その性質からか、その血はいま現在ほとんど絶えたといって久しい。

実際、自分も直接会ったことは片手で数える程しかないし、顔すら覚えていない。

ただ、幼き日によく世話を見てもらった祖父曰く──それはそれは他人を狂わせる奴らばかりだった、らしい。

……そして。

そんな一族の直系にして、恐らく最も濃くその性質を受け継いだ子どもが永く続いた一族内ではじめて競走の世界に脚を踏み入れた。

するとどうなったか?

それは、

 

「なぁ、シルバー」

「よければ家に遊びに来ませんか?」

「キミのようなウマなら誰もが諸手をあげて喜ぶよ!」

 

───そう、まさにこの有様である。

もうかれこれ何回目か、数えることも億劫になる勧誘をいつものように丁重に断りながら、シルバーバレットは溜息を吐いた。

最初は自分を認めてくれてのことだと、友人関係を正しく築けたゆえのことだと、単純に喜んでいた。

しかし、あまりにも続くと正直鬱陶しい。

……がまあ、悪い気がしないのも正直ある。

何故ならシルバーバレットは"サラ系"という生まれだから。

血統ゆえに姿かたちがサラブレッドと寸分違わずでありながらサラブレッドとは認められない者たち。

そんな区分の中に入っているシルバーバレットも、もちろん例外ではなく、大抵の他のウマからは距離を置かれているし、遠巻きに眺められていることが多い。

それが当たり前だし、別段寂しく思うこともない。

だが、同年代の友と呼べる存在がこの学園に来てはじめてできたのだ。

……だからこそ、シルバーバレットは彼らの気持ちを根本から無下にできない。が、

 

『…なぁ、チビ』

 

そんな中で脳裏に浮かぶ祖父の言葉。

 

『決して隙を見せるなヨ』

 

その言葉にあの日の自分はたしか、「どうして?」と返したのだっけ。

 

『隙を見せたら、とっ捕まるから。とっ捕まってどうなるかは…みんな逃げ帰って来てるせいでサンプルがないケド』

『…でも、キミは優しいから。肉体言語(話し合い)じゃなくてフツーの話し合いを望みそうだから』

 

───だから、気をつけて。

そんな、記憶を思い出した。

 





『白の一族』:
またの名を『狂血の一族』。
ずっとずっと昔から続く家だがほぼ無名。
だけど他人の何もかもをぶち壊すヤツらしか生まれないし、その結果の連れ去り等がよく起こっていたので別の意味で有名な家。
たぶんそのせいもあって腕っ節の強い()ヤツらが多い。
ので、表舞台である競走の世界に一族の誰もが『身の安全』のため脚を踏み入れなかったのだが…まさかの末子が。
ちな家の成立初期に下総御料の血が入っちゃってるのもヤバいわよ(某種/道さんと星/富さん)。

僕:
シルバーバレット。特性:どんかん。
自分が周りから避けられているのを"サラ系"ゆえだと思っているウマ(その真相は…?)。
誰にも聞かれていないので自分の生まれが『白の一族』だと言っていないすがた。
いちばん濃く『白の一族』因子を継いだのに気性が大人しいためフツーの話し合いを選んでしまうポンコツ兼お人好し。
なので押せば落とせるかといつも思われているがそのたびに神回避している。
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