さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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趣味に走った。



───それは、イカれた『I love you.(愛してる)』よりも
前の一幕。


殺伐的に躍りましょう?

『貴様のようなみすぼらしいウマがグローリーゴア様のそばにいるなんて!』

 

あ、どうも。

現在、異国の地で頑張らせていただいてますサンデースクラッパです。

さて、最近の僕には悩みがあります。

はい、みなさんお分かりの通りでしょうが。

 

『グローリーゴア様は』

『グローリーゴア様は』

『グローリーゴア様は』

 

…う〜ん、何だかゲームのNPCと話してるような気がしてきた。

それだけしか喋れないんだろうか、このウマたち。

尊敬しているといったらそれまでなんだろうけど、それって要するに、自分を押し付けてるっていうことじゃないの? …まぁいいや。

そんなことを思いながら、僕はポケーっと待ちウマを待つ。

その間もやいのやいの言い募ってくる周りだけど、

 

「…スクラッパ」

「ん」

 

静かに自分の名を呼ぶ待ちウマ-グローリーゴアの元に一目散に駆け寄る。

そうして横に立ち、顔を見上げると、グローリーゴアはふわりと笑った。

それに周りのウマたちは驚愕し、ざわつく。

が、()()()()に時間を割く趣味はないので足早にその場を離脱。

 

「いーけないんだいけないんだ」

「何が」

「笑顔の安売り」

 

基本真顔の鉄面皮のクセして。

なんでさっき笑ったんだか、ねぇ?

そんな僕の言葉にグローリーゴアはさらに微笑む。

もう見慣れたけど、それでもやっぱり違和感あるなぁ……。

だってさ、物語のキャラが目の前に現れたみたいなものじゃない? しかも超美形。

なのに基本無表情なのが僕の前だけはゆるむんだ。

…それが"ライバル"の特権だと言われれば、それまでなんだろうけど。

 

「ねぇ」

「なぁに」

「さっきのと、なに話してたの」

 

じぃ、と見定められる。

特段悪いことをしたつもりはないがその目に見られると思わず身構えてしまう。

しかしグローリーゴアはただ一言。

いつものように、ただ一言だけ告げるのだ。

僕の答えを催促することもなく、また質問を続けるわけでもない。

ただただ僕だけに告げる。

いつも通り、僕の手をとり、いつも通りの言葉を紡ぐ。

そうして、今日もまた一日が続く。

いつもと何も変わらない日々が。

 

 

サンデースクラッパは、他人に興味がない。

それを本バに言えば本気で否定されるだろうがグローリーゴアにとってはそうとしか思えないことが多々あり過ぎた。

例えばそれは…とあるレースの時。

そのレースにグローリーゴアは出走していなかった。

ので、ただ単に観戦していたのだが。

 

「…」

「───ッ、」

 

1着で走り終えた、サンデースクラッパ。

その目には…、何の興味関心もなく。

ただ、『今日の天気は晴れなんだ』とかそういった類の、何でもない当たり前のことを思った時に見せるような、色だった。

その時の彼の眼差しは今でも忘れることができない。

まるでそこに誰もいないかのように……本当に興味がないように。

レースの結果も、実況の声も、歓声も賞賛も何もかも気にしていないかのような目。

だが……そんなが自分を見つけた瞬間、

 

 

()を灯した。

それを知った刹那の感情は、今でも言い表すことができない。

けれど言い表せと言われたのなら自分はそれを───"歓喜"と。

 

「なんだ、来てるのなら言ってくれよ!」

「あ、あぁ」

「ごめんな。キミに見せるには…不甲斐ない走りだったろ?」

 

不甲斐ない走り、か。──6バ身、サラッとつけていた癖に。

 

「いやいや。アレはね、途中でみんな諦めちゃったから。みんなが諦めずに走ってたら、6バ身なんて…」

 

なかったのに。

そう言ったサンデースクラッパは心底悔しそうに顔を歪めていた。

でも、僕はそれを、知っていたんだ。

あの時、初めて出会ったあの日に、既に気付いていたんだ。

このウマはきっと……誰よりも勝利に飢えていて、勝利を愛して止まなくて。

それでいて…自分と()()()()()誰かを求めているんだ、と。

だから、その誰かに僕がなる。

なって、()()()()()のだ。

が、そんな僕とは裏腹に。

 

「あ゛〜、やっぱグローリーゴアと走るのがいちばん、面白いなァ…」





【戦う者】:
サンデースクラッパ。
普段のレースでの他バに興味のない眼差しが半兄ソックリ。…もしも半兄に"ライバル"がいたら、こうだったかも?
そして本バは否定するが家族+トレーナーに対して以外の興味関心すべてがグローリーゴアに向いているため見かけは穏やかだが周りへの対応が塩。
だが興味関心対象であるグローリーゴアと関わると色々滾り始めて父譲りの口の悪さが出る。その時の一人称は「俺」。
んで本バも自覚してない本音をうっかり喋ってしまったりする。
例)
「やっぱりお前が俺の『運命』だ」
「俺だけを見ろ。目を逸らすな」
「俺以外見たらコロす。俺以外に負けても
コロす。─── Understand(分かってるよな)?」


【栄光を往く者】:
グローリーゴア。
【戦う者】にやられたし、【戦う者】には自分だけを見てもらいたいウマ。
コイツもコイツで【戦う者】以外が眼中に無い。
普段は大人しく穏やかだが【戦う者】に関してのこととなれば圧を出す。
だって【戦う者】のライバルは()()()()だから。

「…僕らの"舞台"の端役になれるんだ。慎んで拝領して欲しいね」


ファンや周り:
普段は仲がいいのにレースになると殺伐フレンズになるふたりに脳内が宇宙するし、お互いがお互いを『運命』と呼んで憚らない関係に脳を焼かれている。
…まぁこのふたり、お互いしか相手にならないからなぁ。

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