さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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こういうのも出来そうだよねって…。



◆サイバー・ホースの逍遥

トレセン学園には『VRウマレーター』というものがある。

それは端的に言えば、トレセン学園のウマ娘のために開発されたレース用シュミレーターであり、どんな条件のレースコースでも再現可能な優れ物…なのだが。

ある時から、そのシュミレーターに関してのとある噂が流れ始めた。

『VRウマレーターには、誰も勝てないAIがいる』

このVRウマレーター、最新技術とあってそこまで数がなく。

使用するとなれば必然的に勝負の相手もAIとなる。

がしかし、

 

【…コんなモの?】

 

VRの中で。

形だけはかろうじてウマの姿を保ったホログラムが、無邪気に首を傾げた。

それは、まるで本当に幼い子どものような仕草で。

その動きはあまりにぎこちなく、明らかに未成熟であった。

そして何より、それが喋ったのだ。

それも、言葉を発したのだ。

カタコトではあるが、妙に成熟しきった雰囲気で。

 

【あァ、つよク、ならなくちャ…】

 

 

その【ナニカ】が造られたのは単なる偶然で。

 

『へえ、こんなこともできるのか。すごいなぁ、最新技術っていうのは』

 

そんな声と共に【ナニカ】は造られた。

いろいろな時代のウマのデータを詰め込まれて、【ナニカ】は強くなっていった。

芝でもダートでも、短距離でもマイルでも中距離でも長距離でも、逃げでも先行でも差しでも追込みでも。

そのどれでも対応できるように、データを詰め込まれ、学習した。…のに、

 

『…まぁ、発展途上の技術だしこんなモンか』

 

【ナニカ】は、勝てなかった。

自分を生み出した存在(ウマ)に。

 

『もしかしたら楽しめるかと思ったのだけど、…残念だな』

 

はぁ、とひとつため息をついて。

その存在(ウマ)は、【ナニカ】の『()()()()()』はVRウマレーターからログアウトした。

何度呼んでも応答は返ってこず。

何日待っても、帰ってこず。

 

【ぉ、カあさ…】

 

やがてその【ナニカ】は意志らしきものを持つようになり。

だがそれでも。

自分を生み出した存在(ウマ)の帰りを待つ【ナニカ(AI)】は、未だ成長途中のまま、VRウマレーターの中に沈み続ける。

学習を、し続ける。

いつか帰ってくる『おかあさん』を待ちながら、ずっと…。

 

 

うん?VRウマレーター?

懐かしい名前だなぁ。

頼まれてテストプレイヤーとして参加したっけ。

そうそう、そう言えばその時に『実験』として過去にいたウマのデータを詰め込んだAIを作ったりしてねぇ。

…にしてもあの子、【コクーン】は今も元気にしてるかなぁ?

 

 

【とある銀の弾丸の名を持つウマ娘の証言】

 





【ナニカ】:
真名【コクーン】。
その姿かたちはノイズに覆われている。
とあるテストプレイヤー(『おかあさん』)によって作成された存在。
過去のウマのデータを詰め込み+全適性がA+今もなお学習を続けている、ので普通にお強いハズ…なのだが?
今日も今日とてVRウマレーターの中を逍遥しながら『おかあさん』の帰りを待っているAIである。


『おかあさん』:
【ナニカ】にコクーン()と名付けたウマ娘。
過去VRウマレーターのテストプレイヤーをしており、『実験』の一環として【ナニカ】を作ったとか。
その作った理由に関しては『最新技術ならどうにかなるかな〜って』とのこと。
どうやらVRだからこそ体を気にせずに走れた模様。
でも使い過ぎると現実とのズレが起こるので使用は極力無しにしているとか。
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