さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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ウマ銀弾の過去話。



流星は、銀のキセキを見るか

今年の新入生に、困ったウマがいる。

そう生徒会に話が伝わったのはある初秋のころであった。

同期三人で回している生徒会。

そこに"気まぐれ"と謳われる先輩からもたらされた情報。

 

『オレの舎弟がどうにも、そのペーペーのデビューを押し止めているらしい。アイツめ、相手が何も知らないペーペーだからって…』

 

チーム:アルデバラン。

気性難の巣窟と名指しされて久しい場所に、その新入生はいるのだと。

『オレが言っても聞かなかったから』と"気まぐれ"に頼まれて、そして。

 

「…アンタが、シルバーバレット?」

「……誰ですか?」

「はァ!?」

 

その新入生に、話を聞きに行くことになったのは副会長であるウマだった。

件の"気まぐれ"先輩から、新入生の育ちが西の方だという話が上がっていたこともあり『関西弁のお前なら親しみ持ってもらえるだろ!』という生徒会長サマのひと声で…はぁ。

にしても、

 

「ボクのこと知らんてェ!?」

「は、はぁ…はい、」

「いやボクが現役やったんはだいぶ前の話やから知らんでもおかしくないけど全校集会出てないんかキミィ!」

「ぜ、全校集会…?」

「ま、マジ…?いや、アルデバランやからありえるか…?」

 

まったくもってなにも知りません、とでもいうような顔をする目の前の幼いウマに副会長は思わず嘆息する。

その後、「いつもなにしとんの」と聞けば「チームの部屋にいる」だとか、「【リーダー】のそばにいます」だとか。

どこの箱入りか、と言いたいほどに情報を遮断されて()()()()()いる新入生に本気で頭を抱える。

すると、

 

「…バレット?」

「あ、【リーダー】!」

 

顔を輝かせた新入生が声の方へ駆け出していく。

その瞬間、体の横を通り過ぎた風の勢いに…ゾワリと背筋が粟立ち。

それからのボクは、暇さえあれば件の新入生-シルバーバレットと関わりにいった。

懇切丁寧に、分かりやすいようにこの学園のあれやこれやについて説明して。

とりあえず「メイクデビュー(新バ戦)」というものがある、ということを理解してもらった。

 

「コレって、どうやったら出られるんですか?」

「あ〜…。なぁ、バレットって能力試験、もう受けとる?」

「…能力試験?」

「分かった。ボクが特例で見たるわ」

 

これでも教官のたまごやしな!

そう言ってタイムを計れば、

 

「うわ…」

 

もはやアレは、天性のモンやった。

基本このガッコに来るウマってのは多かれ少なかれどっかの教室に入っとったとか有名なジュニアレースで入着してたとか…そういうんやのに。

 

「八大競走もイけるで、コレ」

 

こんなウマが埋もれていたなんて!

学園に入るまでのレース経歴がまっさらなのを、どこか昔にいた【電撃の差し脚】に重ねながら。

ボクは、──"流星の貴公子"は、自分を待っているウマの元へ一目散に駆け出すのだった。





副会長:
元競走科現サポート科所属のウマ。
人呼んで"流星の貴公子"。生徒会副会長。
(会長は"天"、もうひとりの副会長は"緑の刺客"の模様)
将来の夢はトレセン学園の教官。
先輩である"気まぐれ"サンからもたらされた事案を解決するために動いた。
そして件の新入生であるシルバーバレットの走りを見て完全に魅せられてしまう。
…コイツなら、ボクの夢を。
なお魅せられ過ぎた結果、グイグイ行きすぎてちょっと避けられているらしい。

会長の"天"がCBに注目しているのなら、この人はシルバーバレットに注目している。
どうやらこの後も何かあるたびにシルバーバレットのことを気にかけてくれる様子。


僕:
シルバーバレット。"サラ系"。
本バは気づいていないがチーム:アルデバランのみなさんに学園に関してのいろいろな情報を秘されていた。
ので副会長のことも知らなかった。
自分によくしてくれる副会長に感謝しながらもグイグイ来るのにはちょっとタジタジ…。
ちなトレセン学園に入るまでの競走記録・経歴が真っ白なウマでもある。
それを見て副会長は「なんか 【電撃の差し脚】サンに似てるな」と思ったとか、思わなかったとか…。


【電撃の差し脚】:
既にトレセン学園を卒業して久しいウマ。
二冠バであるが農家生まれで幼いころから家業を手伝っていたのでトレセン学園にスカウトされるまでレース教室に所属したり、ジュニアレースに出走したことがなかった。
まぁそれには、このウマが───"サラ系"であったこと。
そこに何か関係があったのかもしれないが…もう、詮無きことである。
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