さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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小さい子から見たやさしい年上の子どもって何か憧れとかそういうのあるよね。



人知れず見てる

シルバープレアーと【夢への旅路】は自他ともに認める親友…のワケではあるが。

 

『ほら、挨拶しろ』

『……』

『ほら』

『………』

『…(ピキピキっ)』

『い、いや大丈夫だよ【旅路】!…え〜と、はじめまして?僕はシルバープレアーって言うんだ。【夢への旅路】くんとは友だちで…』

 

シルバープレアーはむかし、何度か【夢への旅路】の"きょうだい"と出会っていた。

その子はとても人見知りな子ではあったが、ハッと目が覚めるような美しい栗毛が特徴的な。

だから。

 

「アイツだよ」

「えっ?」

「そりゃ分からなくても仕方ない、か。アイツ、俺の背に隠れてばっかりだったもんなぁ」

 

競走バとなって、ふとしたキッカケで注目したウマが件のその子だと【夢への旅路】本バからじきじきに聞いて。

 

「…まさか、なぁ」

 

まさかもまさかだ。

かの【英雄】のようなナニカを感じたと思ったら、親友の"きょうだい"だったなんて。

そんなことあるのかよ、と思わずには居られない。

だがしかし、こうして対面してみれば納得するしかない。

……この子は間違いなくあのころ会っていた子だと。

 

「あの…?」

「アッ、あっあっあっ、ファンれしゅっ!!」

「!?」

「お、良かったな〜。ビッグネームがファンだってよ」

 

レースを見終わり帰ろうとしたところで「せっかくだし会っていこうぜ」と引きずられていったのは控え室。

そして勢いよく開けられたドアの先にはもちろんあの子がいるワケで…。

 

「お、応援してましゅ…っ!」

「は、はぁ…ありがとう、ございます……?」

 

 

そのウマをはじめて見たとき、目を奪われた。

かのウマは自分の"きょうだい"である【夢への旅路】の自他ともに認める親友で。

というか父親同士から仲が良かったこともあって、小さなころから家族ぐるみで付き合っていたりする。

そんなかのウマは、まるでお伽噺に出てくる王子様みたいだった。

まぁ歳の近い"きょうだい"特有の横暴さとはまったく違う包容感に酔いしれていただけとも言うが。

 

『…ね、ぷれあー』

『どうしたの?』

 

その瞳に見つめられるだけでドキドキして何も言えなくなる。

でも、それでも話しかけてくれることがうれしくて。

──もっと、おはなししたい。

──もっと、いっしょにいたい。

 

だから。

だから。

だから。

 

──こっちを、見て?

"きょうだい"だけでなく、自分の方にも視線を、笑顔を向けて?

そうしたら、きっと自分はもっとがんばれるはずなのだから。

そう思ったから、いっぱい努力した。

たくさんたくさん努力をして、いつかかのウマと肩を並べられるように。

 

……なのに。

かのウマは自分に見向きもしなかった。

 

(…どうして?)

 

そして。

気づいてしまった。

かのウマが自分を気にかけてくれていた理由に。

それは───。

 

あは、ははは、あははははッッ!!

 

グツグツと瞬間で感情が煮えたぎり、視界が真っ赤になる。

あるのは、ただ怒りだ。

純粋で、一直線な怒りだ。

あぁ、嗚呼、舐め腐りやがって!!

 

「…いま、アンタの目の前にいるのは俺だろう?」

 

あの【英雄】じゃなくてさぁ!

なァ、

 

「シルバープレアー…?」





【金色の暴君】:
自身の"きょうだい"の【夢への旅路】の親友である【銀の祈り】に憧れのような…、また別の何かのような感情を初対面からずっと抱いている。
が、あの凱旋門賞にて【銀の祈り】が何故自分を気にかけてくれていたのかのアンサーに至ってしまった結果、情緒がグチャグチャになる。なった。
元より【銀の祈り】に対して【夢への旅路】に向けているような笑顔や視線を自分にも向けて欲しいと思っていたところにアレだよ!!……おぉ、なんという。

【銀の祈り】:
シルバープレアー。
【金色の暴君】の初期からのファン。それは本当。
だがそれはそれとして【金色の暴君】に、自身がクソデカ感情を向けている【英雄】を重ねて見てしまっているのもまた事実。
でもクソボケ鈍感ウッマなので自分が情緒の多重事故の発端になっているとはこれっぽっちも思っていない。
また【金色の暴君】以外にも多数のウマの情緒をグチャグチャにしている。
もしかしたら損害賠償取れるんじゃね?というぐらいにはグチャグチャにしている。
木っ端微塵で粉微塵。そして最後にはジュッ!と焼かれてしまうんだなぁ…。
逃げ場がないゼ…(白目)。
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