さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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【銀の祈り】周辺の多重事故具合は結構ヤバい。
銀弾よりも周りとの関わりが多いぶん…ね?



『憧れ』は別枠

シルバープレアーがある種の博愛主義者だ、というのは競走の世界で生きるモノの中では有名な話だ。

 

G1未勝利バながらあの門に近づいたウマの直仔であり、また"かのウマ"の血筋に少なからず連なるシルバープレアーは周りからさまざまな思惑の視線を受けて過ごしてきた。

 

だがシルバープレアーがその視線を煩わしい、と思ったことはない。

なぜならシルバープレアーの傍にはとても仲の良い歳下の親友がいたし、自身よりも重い期待を背負わされながら、それでも翔ぶように駆けていった同期がいたからだ。

 

だから、シルバープレアーは自分に向けられる視線に頓着しない。

がしかし、それは他の誰彼にはとんと理解のできないもので。

 

シルバープレアーは基本誰もに平等だ。

だが平等というのは、ある意味誰も見ていないのと同じではないか。

そう、考える者がいるのも無理はない話ではあるが。

 

()()()でも、見てもらえるクセに」

 

代替ながらもシルバープレアーに見てもらえるウマにそう零すのも、虚しい。

その呟きを聞き咎めたのか、あるいは偶然なのか。

栗毛のウマは耳聡く聞きつけて、声の主へと振り返った。

そして言うのだ。

―――アンタには分からないよ、と。

 

シルバープレアーの目に映るのは何だろう。

舞台役者のごとくクルクルと走り回りながら辿りつこうとしている場所は、どこだろう。

それを知ろうと、あるいは少しでも近づこうとする者は多い。

そしてその答えに勘づいているかもしれない存在もまた多いのだが……まあ、それはさておき。

 

「…どうしたの?」

 

そんなことは、何も知らないシルバープレアーは今日もおだやかに、朗らかに微笑んで。

 

 

(めし)いたようなものだ、と思う。

幼き日に見た、ガサガサとした画質の中にいた影に。

普通のウマでは到底出しえない記録を叩き出した、かの影に。

シルバープレアーの、目は灼かれた。

完膚なきまでに、その暴力的とも呼べる"疾さ"に。

心ごと、魂まで焼き尽くされた。

否、きっとこの感情を陳腐な言葉にするのなら。

"憧れた"とか、そういうものなのだろうけれど。

ただただ純粋に、シルバープレアーはその背中を追いかけているだけだというのに。

なぜだか、後ろ指をさされる。

 

───自分を見て、と。

 

…おかしなことを、言うものだ。

シルバープレアーはちゃんと見ている。

周りを、周りにいる誰彼を。

ちゃんと、見ているというのに。

だが、まぁ。

 

「『憧れ』への歩みは、止められないんだよね…」

 

なぜなら。

 

「止まったら、置いていかれちゃうじゃないですか」

 

シルバープレアーの『憧れ』は()()()()、ので。

 

「仕方ない、ですよね。…ね?」





【銀の祈り】:
シルバープレアー。残酷な博愛主義者。
原初にこびりついた存在に脳を灼かれては居座られており、行動原理にまで影響を受けている。
いやもちろん親友の【夢への旅路】を大切にして、【英雄】に執着しているのも確かなんですけど比重が違いすぎるというか。
原初は特別枠で、【英雄】:【夢への旅路】:【金色の暴君】:その他=4:3:2.5:0.5くらいの割合かな〜…?という感じ。

【銀の祈り】の原初:
どこまでいっても影響を与えてくる系ウッマ。元凶。
神格化されたり何だりしては存在を忘れさせてくれない。
全部お前のせい兼お前がはじめた物語だろに気づけばなっている。
でもこの方には知る由もないことなので…(白目)。
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