さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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僕のあいつも、いつの日かヒーロー。

【シルバーバレットの勝負服】

【挿絵表示】


勝負服アイコンをつくろう https://kurisaka.net/dot/ 様よりお借りしました。

【追記】
競走馬の紹介についてはwikiの1990JCの記事を参考にさせていただいております。
よろしくお願い致します。


栄光の始まり

ジャパンカップ当日。

 

1番人気はキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス優勝馬のベルメッツ。キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスの優勝馬がジャパンカップに出走するのは初めてのため注目が集まっているのだろう。

 

2番人気にはベタールースンアップ。「オーストラリアからジャパンカップに出走する最初の最強馬」と表現されているらしく、その言葉の通り、前年のジャパンカップをワールドレコードで制したホーリックスに勝利したこともあるようだ。

 

そして、3番人気にカコイーシーズ。4番人気にオグリキャップ。

その中でシルバーバレットは13番人気だ。

 

「なめられてるくらいで丁度いいさ。なぁ?」

「ブルルっ」

 

本馬場入場の誘導馬が興奮するほどの大歓声にG1とはこんなに凄いものなのかと思う。

いや、ジャパンカップだからこうなのかもしれない。

大歓声は聞こえにくいシルバーバレットの耳にも届いたようで武者震いのように軽く嘶きを繰り返していた。

 

「気負うなよ」

「ブル…っ」

 

分かっているさ、という風な声。

逆にお前こそ気負うなよと言われたような気がした。

 

ジャパンカップ当日、ゲートへ誘導されていく彼らを見て僕はG1とはこんなものなのかと考えていた。

外国馬は強そうな奴ばかりで楽しませてくれるかもしれないと少しばかりテンションが上がってくる。

 

テンションが上がるのはそれだけではない。

この大歓声!

誘導馬が天を向いて口をガクガクしていた時は何事かと思ったが本馬場に出た瞬間、耳に届いた声に「あぁ、これは興奮しなくちゃおかしい」と納得した。

 

何万の声を束ねた音が、何万もの期待の目が僕らを見ている。

あぁ、嗚呼!ずるい、ずるい、ずるい!!

 

今日ほど運の悪かった自分を呪ったこともない。

またあの日諦めなくてよかったとも。

 

(どうしようもなく、興奮してる…)

 

バクバクと興奮で心臓が高鳴っているのを感じる。

平静を保とうとしても出るのは興奮の嘶きと抑えきれない武者震い。

 

早く、速く走りたい!

爆発してしまうような興奮が止められない。

嗚呼、嗚呼…!

 

「気負うなよ」

 

騎手くんの声が聞こえて、スっと興奮が収まる。

その声があるまで、恥ずかしいことに僕は彼のことをすっかり忘れていた。

騎手くんもそんな僕を落ち着かせるように撫でてくれる。

 

そうだよ。

僕だけで走るんじゃないんだから。

彼と一緒に力を合わせなくちゃあ勝てるものも勝てない。

 

かけられた声に僕も応答する。

 

そっちこそ気負うなよ、相棒。

キミが武者震いしてるのコッチも分かってるんだぜ?




僕:大変テンションが上がっている。
自分の聞こえにくい耳にも聞こえるほどの大歓声かけられたら、そりゃあ興奮しちゃうよね。
史実でのフレンチグローリーさんの枠にお邪魔させてもらっている。
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