史実√の罪と罰。
───いつか沈むと、知っている。
お前はアレを『呪い』と言うが、…お前だって。
この【呪縛】は、いつから泥舟になったのだろうと思考する。
いや、始めたのはたしかに俺だがここまでになるとは思わなかったのだ。
『
心底から嫌っていたハズなのに、あの場所であの【影】を見て、どうしようもなく惹かれてしまった。
続くのは、地獄だと分かっていた。
けど、諦めきれなかった。
あの綺麗さを、終わりまで見届けなければいけなかった。
はじめて、視た者として。
だから、この泥舟を作り、乗った。
いつしか沈むと理解していても、乗り続ける事に決めた。
そして、沈んだならそれを受け入れればいいとも思っていた。
そう、あの『
あの地獄が、俺を創り変えてしまった。
囚われ続けた【呪縛】はもはや【呪詛】だ。
『
いつか沈みゆく泥舟を、夢半ばで消えゆく誰かの体で補強して。
テセウスの船みたく、壊れてもなお継ぎ足して、その果てに何も残らなくとも構わず。
ただひたすら、視た『
己が『後悔』の為だけに、他人を使ってまで……俺は何を得た?
何を成し遂げて、何を失ってきた?
その答えが、目の前にある。
それが、
「父さん」
気付かぬうちに、埒外に
体はたしかに我が子なのに、内包されているモノが違うと本能が警鐘を鳴らす。
俺を見る眼は、どこか遠いところを見ているようだった。
俺の声にもぼんやりとした反応しかせず。
その声音にも抑揚がなく、感情も篭っていない。
まるで機械のような──── ああ、そうだ。
そうじゃないか。
この子をこうしたのは、
「褒めて、くれる?」
ならば、この子はさしずめ出来上がった舟か。
蠱毒のごとく、
それはまさに【呪縛】の具現であり、 だからこそ、 俺はそれに手を伸ばすことを躊躇わない。
たとえ、この子がどれほど怪物じみた存在になっていようと。
「あぁ…えらい、えらいなぁ、プレアー」
我が子が我が子がである限り。
親が、子を愛さない道理はないのだから。
*
遠き日のいつか。
子どもは自らの父を救ってやりたいと思った。
いつか沈む泥舟に乗っては、沈むのをよしとする父を。
子どもの父は、とてもやさしいウマだ。
ひとりひとりを平等に見てくれて、みんなのためにいろんなことを考えてくれる、やさしいウマ。
けれど、彼はずっと傷ついていた。
遠い遠いむかしに、刻まれた疵に苛まれていた。
だから。
子どもは───救って、あげたくて。
「大丈夫だよ、父さん。僕が、父さんを守るから…」
「あぁ、嗚呼…。ありがとな、プレアー…」
父:
泥舟の作成者。
いつか視た『
泥舟が未来で沈むことを理解しているし、理解しているぶん泥舟と運命を共にすることも辞さない…はずだった。
だが泥舟から形を成した息子に自らの罪を突きつけられるがそれでも息子を愛する父。
たとえ"バケモノ"になっても、俺だけはお前を…。
息子:
泥舟から形を成したナニカ。
父のことを慕って、愛しており、父を救いたいと願った結果、いつしか変貌した。
お父さん大好き。僕がお父さんを救ってあげる。
ある意味【銀色のアイドル】みたいな存在。
父さん。わらって、くれる?