祈りの独自。
祈りも祈りで考えている(いた)。
そんな話。
───目指した『星』には、いつ届く?
僕を通して周りが見ているのは父なのか、それともまた別の"あの方"なのか。
けれど重ね合わせては周りの人々が一喜一憂しているのは紛れもない事実なのだ。
人々はどれほど負けても折れず、曲がらずの僕を愛して、
命じられたことを、ただ淡々とこなせる機械であったのならどれだけ楽だっただろう。
雨あられのような、銃声のような自分へ向けられた声を聞きながら与えられる"期待"を、喉を灼きながら飲み干す。
「……っ」
灼かれた喉からはろくに音も出ない。
でも、いいよ。
僕が話したかった相手はもういないのだし。
だから僕は今度こそ口をつぐんだまま、また一歩を踏み出した。
いつまで走り続けるんだ、とか。
そろそろ後進に道を譲れ、だとか。
そんな言葉を投げかけてくる人はいくらでもいたけど、僕の心には響かない。
ただ、早くゴールしてしまいたいとしか、思っていなかった。
そうすればきっと、この喉を灼く痛みからも解放されるから。
『走りたい』と心底から思っていたのはもうずっとずっと前で。
勝ちにも負けにも茫洋とした反応しか返せなくなって、今はどれほど?
苦しくて、苦しくて堪らないほどの悔恨を、痛みを、最後に感じたのはいつだっけ?
己に羽はないのだと、突きつけられたのはいつだっけ?
……ああ、そうだね。
その瞬間だけは確かに痛かったかもしれない。
だってその時はまだ、僕は飛べると信じていたから。
いつか必ず、誰よりも高く翔ける日が来るって信じていたから。
『星』を目指した我が父のように。
いずれ燃え落ちようとも光を放つ『星』へと届き、誰かの導となる恒星になるのだと信じたから。
だけどそれは幻想でしかなかった。
翼のない鳥など存在しないように、夢見るだけの子供ではいられなかった。
そして、何より。
───隣にいたはずのキミが、いなくなって。
いや、それは語弊があるか。
引き止めなかった、のだ。
キミはサッパリとした性格だから引き止めるのも、野暮だろうと。
人々から喝采を受けて去っていく主人公を引き止める、バカの所業をするワケにはいかなかったから。
だから、手を離した。
離しても、ひとりで歩いていけるんだって、強がった。
それが間違いだったとは言わないし、今でも思ってはいないけれど。
……それでもやっぱり。
少しだけ寂しかったし、悔しかったんだ。
あの時手を握っていれば良かったのかなって思うこともあるんだよ。
まあ、もう過ぎた話なんだけど。
「だから、さ」
喰らいながら、まだ走れ。
『走りたい』と、心底から思っていたのはまだ、キミがいたころ。