そこそこ歳下特攻持ちな【銀の祈り】さん。
俺にとってそのウマは親父の親友の子どもで、"かぞく"である【夢への旅路】の親友という印象だった。
おだやかでふわふわとしたウマ。
このウマが本当にG1戦線を渡り歩き、『主役喰い』とまで呼ばれているなんて脳内で一致しなかったのだ。
「…おいで、ゴルシくん」
そのウマは歳下のウマを可愛がることを好んでは、よく膝の上に乗せたり抱っこしたりして。
あたたかな体が、重厚な安定感をもって『自分を決して落としはしない』と示されてしまえば最後、年少者はもう抗うことができない。
そんなわけでゴールドシップも例に漏れず、そのウマの膝の上にちょこんと乗せられていたのだが……。
「なーなー、ぷれあー」
「なぁに?」
「ぷれあーってさ、ほんとはすっげえつよいんだろ?なんでかてないの?」
それは幼き子どもの純粋な疑問であった。
懐いている歳上のウマが周りに『でも勝ててないじゃん』などとバカにされるのが許せなくて。
だから、本バに「どうして?」と聞いたのだ。
すると、
「…ぷれあー?」
「……。あぁ、いや」
一時は口篭りもしたが、ゆっくりと分かりやすく説明をしてくれた。
「……そうだね。そう言ってくれるのは嬉しいけど。僕の体はまだまだ発展途上だから」
「え〜?【夢旅】(※【夢への旅路】のこと)より歳上なのに?」
「う゛っ!」
話を聞くに。
そのウマの家系は肉体と走りの出力が
一度ボタンをかけ違ってしまったが最後、選手生命を断ちかねないほどに致命的な故障を引き起こしてしまうらしい。
そして、その体質を受け継いでいるのが目の前のウマであり。
……つまりこのウマは、自分の限界を知っているということに他ならず。
「それに僕は……ただ走るだけじゃなくって、できるだけ長く、走っていたいから」
遠い目をしていた。
───後年、そのウマの戦歴を調べてみれば無事是名バを地でいくような戦績ばかりが並ぶことになるのだが。
しかしそれでもなお、"ぷれあー"-シルバープレアーは満足していなかったのだという。
…ただの、又聞きにしか過ぎない話だ。
競走バとしてのシルバープレアーのバ生において、俺は最後まで【
可愛がる歳下として目に入ることはあっても、レースで
「羨ましい、な」
祝福を受けながら引退式を執り行うそのウマの姿を見て、そうひとりごちる。
ターフビジョンに映る、長年に渡って熟成された美しい芦毛が風に乗って揺れるのを見ながら…。
【破天荒】:
ゴールドシップ。
幼いころから自分を可愛がってくれる【銀の祈り】に純粋に懐いている。し、会うたびに大型犬みたいになる。
が、レース時の【銀の祈り】に相対することが出来なかったことに対してはちょっとした感情を抱いている模様。
───俺も、その顔を見たかった…なんてな☆