さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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たぶん滅茶苦茶思わせ振りなことするんやろなぁ…。



はじめましてのご挨拶

トレセン学園に入学した際に、父から「挨拶しておくように」と言われた方は父と同い年とは思えないほど若々しかった。

 

"シルバープレアー"。

そう名乗ったその方は父と覇を競い合った後も走り続けており、シルバーコレクターと言えば、または昨今のトゥインクルシリーズで一番有名なウマと言えばという問いにおいて十中八九名前が挙げられるウマとなっている。

 

それほどに、それほどの地位を築き上げた方なのだ。

たとえ過去、その方が父の学友でありライバルであり親友であった、という事実があるにせよ挨拶しろというのは中々に難易度が高い…のだが。

 

「キミが【貴婦人】さん?」

 

あちらの方から、話しかけてきた。

「さすが【英雄】の子、美人さんだね」と開口一番褒められるのに少しだけ面食らうも、「いえそんな……」となんとか返事をする。

が、…それにしても。

 

「あの、どうして私の名前をご存じなんです?」

「そりゃあ…【英雄】の方からいっぱい電話が来たから…?」

 

去年のこの時期もいっぱい来たよ、とにこやかに笑う姿に思わず「ウチの父がすみません…」と謝ってしまう。

父は昔からそういうところがあったのだ。

…シルバープレアーに関しての情報を脇目も振らず収集したり、レースを応援したりするクセに、当バ自身には何も連絡を取ろうとしないというところが。

だから件の電話も私たち子どものトレセン学園入学を建前にした至福の時だったに違いない。

 

「うん、じゃあまたねお嬢さん。応援してるよ」

 

そう、ぼんやりと考えているとにこりと微笑み去っていく姿に。

 

「…白バの王子様って、あんな感じなのかしらね」

 

 

「うん、久しぶり」

 

何年ぶりかに、友人の名をディスプレイに表示した携帯を持って応対する。

今もなお走り続ける僕と第二のバ生を送るキミ。

もう二度と交わることはないのだろうなと思考していたのだが。

 

『ああ、本当に久しぶり』

「元気にしてたかい?僕はいつも通りだけど」

『相変わらずだね』

 

相変わらずの快活さに笑みを浮かべてしまう。

昔のまま何も変わらない友人の声を聞きながら、ふと考える。

 

「……ところで、何か用事かな?」

『え?』

「だってわざわざ電話をかけてくるなんて珍しいじゃないか」

 

確かに学生時代はしょっちゅうつるんでいた僕らだが、卒業後に連絡を取り合うことは滅多になかった…というかコレが初めてだ。

それがこうして通話アプリで会話しているということは、きっと何かしら用事があるからだろう。

すると、

 

『あ、あぁ、…今度子どもがトレセン学園に入学するから』

「へぇ!なるほど、それとなく見守っとくよ」

『う、うん…ありがとう』

 

頼まれごとに思わず頬がゆるむ。

さすが【英雄】、家族思いだなぁ…。





【銀の祈り】:
シルバープレアー。
歳下キラー兼初恋キラーのファンサ◎ウッマ。
穏やかでやさしい性格もあり本バの素知らぬところでファンクラブがある。

また久しぶりに連絡を取ってきた【英雄】に対して「いい親なんだな〜」と思いつつニコニコした。
いや確かにそういった側面もありますけども本当は…ね?このクソボケェ…。
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