やっぱ原初に落ち着いちゃった感…。
あ、銀弾生存軸です。
…とんでもないモンが目覚めたなぁ、とその時、ただ漠然と思った。
「…えっと、あの、併走して、くれませんか?」
そうオドオドと頼み込んでくるのはそれなりに目をかけている甥の子ども-シルバープレアー。
もうそろそろ引退式というクセに酔狂なモン…と思いながらも頼みを了承する。
「…と言っても僕、もうジジイだから期待しないでね」
「……はい」
子どもの口角が上がったのに、どこかギィ、という立て付けが悪くなったドアの、軋んだ音を連想する。
そうしてふらりと流す程度に併走を始めればすぐにぞわりと背が粟立って。
(…コイツ、)
現役のころよりはだいぶ速度が落ちた僕に付かず離れず着いてくる彼。
だがその彼から与えられるプレッシャーは、
(これは…?いや、…)
首に巻きついたまま剥がれない
今、僕の首には糸が…。
まるで、女郎蜘蛛か何かか?
とりあえずそういうものが巻きつけられている。
まるで今からお前を喰べるぞ、とでも言うかのように。
「…はぁ、」
それに僕は、
「よっ、と」
久しぶりにプレッシャーを放って…。
*
あの場所で、あのレースで、【彼】を見て、だらりと口内に唾液が溢れ出した。
こんなの、はじめてだった。
こんなに喰べたいと思ったのはあの【英雄】以来。
…いや、これは、
(お い し そ う)
たまらず"本能"が表出する。
どれほど食べても、食べても、食べても、喰べても満たされなかった、"本能"が。
【彼】が欲しいと、叫ぶ。
【彼】を食べることができればこの飢えも満たされるかもしれないと。
"本能"が全身全霊で追おうとするのを必死に理性で押さえつける。
そして、
「勿体なかった、なぁ…」
ゴールを抜けた瞬間【彼】が消えたのを見て、ぐぅ…と腹が鳴った。
それとともに惜しい、と思った。
このレースをもって引退する僕はもう二度と【彼】に会うことは叶わない。
もう【彼】を喰える機会はない。けど、
「…いいよ、走ろうか」
【彼】の大元は、まだ、存在するから。
あそこにいた【彼】よりは
そう考えて頼んだ併走だったが、
当て返されたプレッシャーに思わず脚を止めて、額を押さえる。
向けられた
今にも、引鉄が引かれそうになったから。
かふかふと、荒い呼吸でその場に留まっている僕に、近づいてくる影が嗤う。
「銀の弾丸が喰われるなんて、」
───あるわけ、ないだろう?
薄らと口元だけで笑うその人に、僕も笑い返す。
嗚呼、彼は、【彼】は、"シルバーバレット"は…!
「…あは、」
まだ
「……美味しそ」
そう、歓喜のままにつぶやいて、だらりと垂れたヨダレを、ごくんと飲み込めば、
「…おなか、減っちゃった」
銀の祈り:
シルバープレアー。
適性→芝AダB。短CマA中A長A。逃A先B差G追G。
優しく見えて、その本性は貪欲な獣であり
好きなものは最後に喰べるタイプでいつも飢えている。
今までは同期である【英雄】を最後に喰べるつもりであったが、引退レースであった凱旋門賞にて見た【彼】の姿により、喰べたいランキングに変動が起こった。
なお現在の喰べたいランキングは、
1.【彼】もしくは僕
2.【英雄】(元1位)
3.【金色の暴君】
とのこと。
プレッシャーの形は蜘蛛の糸。
実のところ長年の経験の積み重ねで
ちな【彼】が1位になったのは
ずっとずっとずーっと想い続けていた故に、綺麗だった【
その分、【彼】は自分と同類のバケモノなので包み隠さず対等に喰らい合える…みたいな。
僕:
【彼】の大元。
銀の祈りいわく『とても美味しそう』とのこと。
基本はのほほんとしているがその気になれば現役時代と同等のプレッシャーを出せる。もしかしたら現役時代よりも強いプレッシャーかもしれない。
プレッシャーの形は名は体を表すのか銃。
それを額に突きつけて引鉄を……、なんてね?
別に
……それでフツーに勝ってんだから世話ないよなぁ(呆れ顔)。