さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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そういやゴールドカップ~宝塚記念までの日程を見てみると3日or10日の間しかないんですよねぇ…(白目)。



望まない通達

サクラスタンピードにとってプライドシンボリとメジロシルフィードというふたりの幼なじみはかけがえのない存在であった。

プライドシンボリは自他ともに認める親友であり、メジロシルフィードは大切な妹分であったのだ(とは言っても幼なじみ内でのヒエラルキートップはメジロシルフィードであるのだが)。

閑話休題。

 

「え、」

 

その話をサクラスタンピードが聞いたのはもうすぐ宝塚記念といった頃であった。

当時はもう既にプライドシンボリが海外遠征を行っており、その勝利の吉報や次走の情報がテレビ等で流れ、報道されていたころ。

そんな時期にサクラスタンピードに舞い込んできたのは、前年に「無敗の三冠なるか!」と目されていたプライドシンボリを退け菊花賞を制し、年が明けては天皇賞・春をも制して、そのまま「先に行ってますね」と自身に告げ海外遠征していった、幼なじみであり妹分でもあるメジロシルフィードの敗北であった。

 

「……どういうことで?」

「いや、それが…。詳しいことはまだ不明だがどうにも向こうで…」

 

そこまでを告げて、サクラスタンピードのトレーナーはハッとしたように口を噤んだ。

それを見て、サクラスタンピードは大まかなことを察してしまって。

 

「……詳しく教えてください」

 

そう言った際の声色はいつも通りであったが、しかし明らかに怒気が含まれていた。

 

 

実のところ、サクラスタンピードとメジロシルフィードには幼なじみではあれど対戦歴はない。

それは互いに得意とする距離が真逆だったからだ。

いちおう中距離も走れなくないとはいえ、どちらかと言えば短距離やマイルの方が得意なサクラスタンピードと長距離巧者のメジロシルフィード。

それを考えるともうひとりの幼なじみであるプライドシンボリの方が対戦歴があるといえよう(サクラスタンピードとは皐月賞にて、メジロシルフィードとは菊花賞にて)。

…とはいえ。

 

「そうですか、スパートを掛けはじめた直後に…」

 

こうやって聞きとがめなければ、そのまま隠し通すつもりだったらしい自らのトレーナーに吐かせた事実は残酷なものだった。

 

───メジロシルフィードの、競走能力の喪失。

 

元来、メジロシルフィードの脚の弱さを知っていた幼なじみとしては「ここで来たのか」と天に向かって恨み節のひとつ、吐きたくなるが。

それと同じように、プライドシンボリのことを思うとその気持ちすら押し込められてしまう。

 

 

何故なら、サクラスタンピードは知っているから。

 

『今度は俺が勝つ』

『受けてたちます』

 

ふたりがそう言って誓い合っていたのを。

 

『ぼく、しるふぃーどのとなりに立ってもはずかしくないウマになる!』

 

かつてに、そう告げた幼子がいたことも。

すべてを。

知って、理解してしまっているから。

 

「…このことは、プライドに伝えないでください。伝えるとしても、すべてが終わったあとに」

「あぁ、それはプライドシンボリ(あっち)のトレーナーも同じ意見だと」

「そう、ですか」





【桜吹雪】:
サクラスタンピード。
いちばん近くにいる幼なじみだからこそ。
知っていながらも大切だから告げられなかった。
すべてが終わったあとに、すべてを知った幼なじみに殴られようが誹られようがすべてを受け止める覚悟である。
…分かっていたのなら、もっと。

【風の妖精】:
メジロシルフィード。
主な勝ち鞍:菊花賞(クラシック級)、天皇賞・春(シニア級)
牝馬ながら長距離戦の女帝となったお強い淑女。
だが生来の脚部不安により、遠征先のゴールドカップにて…。
でも史実ではなくウマ世界なので救われている。

【一等星よりいずる者】:
プライドシンボリ。
海外遠征真っ最中なのを慮って何も知らない。
しかも当人がSNSのみならずニュースなどもあまり見ない生粋のトレーニング狂なので誰も教えない限りは…という。
どっちの方が、よかったんだろうね。
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