さよならはまだ言えない   作:芦毛スキー

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取り繕って、取り繕って。
崩壊の自覚もない。



成り果ての思考

駆けよう。喋ろう。

そうは言っても【僕】こそが皆々様の理想。

そんな世間に息が辛い。

なら好きにカマして、楽しんで、拍手をもらおう。

それで敵(・)視(・)をもらうのだ。

 

【僕】って存在はただただ悪いみたいで。

『憧れ』ってヤツを見せるコトに関しては右に出るのはいないらしい。

がしかし、先輩っぽくやさしく振る舞うのはすごく面倒臭い。

やさしくしても、結果(成長)が伴わない。

自らを賛辞する声も、もう煩わしい。

 

「厭だ」

 

自分を純粋に慕う子どもの、柔いところを剥ぎ取ってはぐちゃぐちゃに掻き回し、狂わせて。

それでも慕ってくれる子たちに満たされるなんて思っても。

 

(、)

 

心の内は、満たされない。

 

*

 

僕は、周りを狂わせるらしい。

それは「あなたに魅せられてこの学園に来ました」と言いに来る子どもたちの多さから分かるといったものだ。

 

僕は周りが言うほど『天才』でも『秀才』でも『化け物』でもない。

自分の持てるものを注ぎ込んだ結果がアレというだけのコト。

なのに子どもたちは僕に憧れていると言う。

だから何だというんだろう?

だって僕の努力は報われなかったじゃないか。

どれだけ走っても負けなくて、起伏のない平坦で退屈な毎日だった。

それをどうやったら変えれるのかと足掻いてみたけれど何も変わらなかったし。

 

『当たり前』が嫌だ。

そう思ったとしても結局変わるものじゃない。

それならばいっそ。

狂ってしまうほうがマシだと思えた。

そうだろ?

───僕にはもう、夢がない。

走ること以外、生き方がない。

……ああ、なんてつまらないんだろうか!

とか言っても終わる気力などなく。

 

だから。

今日も、走る。

僕は走り続ける。

走るためだけに生きる人生は楽なのだ。

だから走ろう。

そうやって自分を偽っていれば良い。

そうすれば少なくとも傷つくことは少なくなる。

誰かを傷つけることも、ないだろう?

 

すべてを自己完結させて。

今日も、僕は走る。

が。

───走ることだけを考えて生きていけたら、どんなに良かっただろう。

……なんてね。

 

*

 

それこそが悪循環の起点なのだと、気が付かない。

最悪の自己完結。

無意識の自己防衛ゆえか、いつの間にかそれが本心になってしまった。

それに誰も気が付かなかった。

 

「…………」

 

そして壊れていく。作り替えていく。

自らの理想のために。

自らが壊したナニカたちのために。

その果てにあるモノを求めて。

 

…だが、かの存在知らない。

そんなモノは何処にもないと。

自らの存在が、周りのすべてを狂わせるなどと。

止められないままに。

それはまるで麻薬のような性質で。

一度手を出せば最後、抜けることはできない。

 

そして、今も。

存在は独りきりで望まれた舞台に立ち続けている。

それはきっと……これからも、続くのだろう。

 





僕:
在るだけで周りを狂わせる。なるようにならない。
『走る』ことに主軸を置いて目を逸らしている。
欠けたところを補修するのが得意なので「欠け」に誰にも気づいてもらえない。

…まぁ、何にせよ。
完璧なモノより多少「欠け」のあった方が魅力的ですよね。
サモトラケのニケ的な「欠け」があった方が、ね。

でも、『救い』なんて要らないよ?
だって、

いま、僕は 『 し(・) あ(・) わ(・) せ(・) 』 だもの!
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